キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2018年10月4日(木)19:00~21:00(開場18:30)
場 所ミューザ川崎 研修室1
会 費2,500円(軽食費込)
テーマ 「エンディングノート」の活用
講 師 小湊 ちづる
あけぼの法務事務所 行政書士
参加者 24名(欠席1名)

 

セミナーの模様

10月4日の講師は、あけぼの法務事務所 行政書士の小湊ちづるさん。
小湊さんは、平成22年に神奈川県行政書士会に登録・開業され、成年後見人として活動される中、各地域で市役所や地域包括支援センター、地域の中核指定病院や金融機関等からの依頼を受け、成年後見並びにエンディングノートの普及の為、講師活動を続けていらっしゃいます。
最近では、先日亡くなった女優の樹木希林さんの死生観について話題になりましたが、今後の高齢者福祉は、現状とは違ったものになると予想される中、現状の問題や不安と向き合い、どのように取り組んでいけばよいのでしょう。
理想の未来(老後)に向けて考え、課題を見つけ、その解決方法としてエンディングノートの上手な利用についてお話いただきました。

エンディング(最期)を考える

金融機関やお寺、地方の役所、地域包括など主に公共機関からの依頼でエンディングノートの講習をされている小湊さんですが、普段は高齢者に向けてお話する機会が多く、30代から70代の女性参加者ばかりをターゲットに講演するのは初めてとのこと。
開業してから8年間で、30~40回も講演されているとあって、様々なエピソードを交えながら、通常講演されている内容をそのままお話いただきました。

年代によっては、自分よりも親に当てはめてお話を聞く方も多かったと思います。
はじめに、「親が死ぬまでにしたい55のこと」という書籍の中から、こんな数式をご紹介いただきました。

親の残された寿命×1年間に会う日数×1日で一緒にいる時間=親と一緒に過ごせる時間

例えば、20年×6日間×11時間=1,320時間 の場合、あなたが親と一緒に過ごせる時間は、わずか55日間です。

2017年の日本人の平均寿命は、女性87.26歳、男性81.09歳です。
親の死はいつか必ず訪れるものですが、このことと向き合い、真剣に考える機会を逃してきたという人は多いのではないでしょうか。
今回のセミナーでは、親として、子として、また自分のこと、親のこと、パートナーのことなど、様々な立場でエンディング(最期)について考えてみました。

エンディングノートへの記入内容

エンディングノートへの記入内容には、自分の経歴はもちろん、好きなもの(食べ物、色、音楽、本など)、学生時代・職場・趣味などの思い出のほか、医療、介護、葬儀、死後のこと、お墓や納骨のこと、財産のことなどがあります。
この中で特に大切なのは、医療についてのこと。
持病や既往歴はもちろんですが、特にアレルギーがある場合は、食事などが命に関わる場合が考えられるので、必ず書いておくとよいそうです。
また、薬の服用についてはかかりつけ薬局を、自宅介護を望む場合や尊厳死のことなどについては、かかりつけ医を作って話し合っておくとよいそうです。
それから、考えておかなくてはならないのが「自分が認知症になってしまったらどうしたいか?」という点です。
身の回りの世話を頼める人がいればよいのですが、いない場合は「成年後見」という制度があり、これについてもお話いただきました。

些細なことも書いておく理由

成年後見には、既に判断能力が無い方に対する「法定後見制度」と、判断能力があるうちから将来に備える「任意後見制度」があるそうです。
ここで小湊さんが法定後見人を引き受けた際のエピソードをお話くださいました。
持病があったその方にとって、食事を摂ることはとても大切なことなのに、毎回ごはんをひっくり返しては、「これは江の島」と言って食べないということがあったそうです。
数カ月にわたり原因を探っているうちに、その方が社会科の先生で、地形図などの模型を作っていたということがわかり、解決策を講じて食事を摂るようになったというお話でした。
もしそのことが事前にわかっていれば、もっと早く処置ができたのに、と小湊さん。
認知症の方の後見人として考えることは、「この方は、本当はどのような老後を送りたいと思っていたのか?」ということだそうです。認知症になってしまうと、何が好きだったか、どういうことをやりたかったのかを知る術はありません。
だからこそ、判断ができるうちに、自分の想いを書き記しておく「エンディングノート」は大切なのだとのことでした。
「こんなことを書いて何の役にたつのかしら?」と思うことでも、それが何かの紐解きになる場合があるので、細かく書いておくといいようです。


エンディングノートで重要なこと

エンディングノートの作成で重要なことは、「自分の意思や気持ちの整理」「“自分の想い”を“誰か”に託すこと」この2点。
エンディングノートは「生きている間のこと」を中心に書くもので、これを理解した上で、老いじたくに活用するとよいそうです。
エンディングノートを書くことで、これまでの自分の生き方を見つめ直し、気持ちを整理しながら、これから自分がどう生きたいかを考えるきっかけになりそうです。
少し時間が経って、思いが変われば書き換えられるものですので、まずは書けるところから書いてみてはいかがでしょうか。

質疑応答のコーナーでは、たくさんの質問がありました。
「後見人とはどう出会えばいいの?」
「今からでも任意後見制度は使えますか?」
「親に勧めたいが、受け入れてもらえる良い方法はないか?」
「エンディングノートはどこで買うの?」などなど。
ちなみに、エンディングノートは書店で手に入るそうです。

最後に「後見人はとても大変な仕事だと思いますが、なぜされていますか?」という質問がありました。
「この話をすると未だに涙が出てくるのですが...」そう言って、エピソードをお話くださいましたが、このお話にはみなさん胸が熱くなったようです。
ここには書きませんが、もしチャンスがあったら伺ってみてはいかがでしょうか。

今回のセミナーには新たに2名の方が参加されました。
セミナー後、参加者の方に一言ずついただきましたが、「先日エンディングノートを購入した」「エンディングノートの大切さがよくわかった」「早速購入します」など、関心の高さが窺われました。

今後もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご都合に合わせ、是非ご参加ください。



受講者の声

   
  • つい2ヶ月前に買ったばかりで、キャリアからのお話にとても楽しく「うん、うん」と聞かせて頂きました。子供達のために、きちんと書いておこうと思います。
  • エンディングノートとは、生きている間を充実させるためのものということを知りました。今の自分、これからの自分の意思や気持ちの整理をするためにも、今からでも準備が必要だと感じました。ありがとうございました。
  • エンディングノートの本当の意味がよくわかりました。ノートを書く事は、自分の今までの行き方を振り返ると同時に、これからの生き方を考えるためのものであると思いました。
  • (アンケートより抜粋)

    ※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

     

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