キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2021年1月23日(土)11:00~13:00
場 所 Zoomによるオンライン
会 費 正会員1,000円、準会員2,000円
内 容 2019年の活動報告、講演会
テーマ あなたとあなたのメンバーが幸せになれる、正直で助け合える組織作り
講 師 マネジメントケアリスト 浅井浩一氏
参加者 48名

 

初のオンライン新年会

参加者のみなさん

毎年恒例の新年会はコロナ禍の中、Zoomでのオンライン開催となりました。
オンライン開催にしたことで、ご自宅からの参加が難しく参加を断念した、逆にオンラインだからやっと新年会に参加できたなど、様々なご意見もいただきましたが、今回は48名の方にご参加いただきました。
残念ながら立食パーティーも催し物もない新年会でしたが、野木会長の活動報告に始まり、外部講師をお招きしてのオンラインセミナーは大変好評、最後はキャリ研音頭で締め、一年の始まりにふさわしい会となりました。


運用方法を刷新。14年目のキャリア研究会

野木会長

さて、設立から14年目となるキャリア研究会。まずは野木会長より昨年の活動報告がありました。
昨年は新年会を日立目白クラブで開催したものの、3月のセミナーは新型コロナウィルスの影響で中止、それ以降はオンラインにシフトし、計5回のセミナー開催となりました。
また、6月に予定していた南三陸研修も延期しましたが、その後感染状況が少し落ち着いた9月には唯一のリアル開催となった大人の社会見学会で川崎マリエンへ。この他、分科会のハイブリッド開催やABC協会のオンラインセミナーなど、新しいスタイルでの活動には、延べ200名の方々にご参加いただきました。


統計情報

2020年9月には会の運営方法を刷新し、プロフィールをご登録いただいた方を正会員と位置づけたことを報告。これまで400名程だった登録メンバーは1月23日時点で128名(正会員108名、準会員20名)となり、念願の会員データベースができあがりました。
年代や学歴、勤務形態、職業などの統計情報についてはWebサイトに掲載し、キャリア研究会の概要としてお知らせいたします。(左の図は2020年12月9日時点、回答数105名)

なお、このデータベースを会員相互のネットワークの構築に役立てるとともに、会員の未来に向けて役立てられるよう、皆さんと共に考えて参ります。


今年もオンラインを中心にハイブリッドでのセミナー開催を模索し、また延期となった南三陸研修などのイベント、分科会活動も工夫をしながら、できれば実施する方向で準備を進めて参ります。
キャリア研究会の見える化・ブランド化を更に推し進めていくために、ロゴを公募する考えも発表されました。
最後に「新型コロナの影響でテレワークが常識化しつつあることは、少子高齢化の世の中にとって絶対必要なこと。これまでなかなか進まなかった壁が取り払われ、キャリア研究会もハイブリット化を進め、全国展開をしていければ」と今後の豊富が語られました。



講演『あなたとあなたのメンバーが幸せになれる、正直で助け合える組織作り』

浅井浩一氏

続いて、マネジメントケアリストの浅井浩一さん(通称あややさん)に「あなたとあなたのメンバーが幸せになれる、正直で助け合える組織作り」と題し、お話いただきました。

セミナー開始前から、Zoomに入室してくる参加者に声を掛けられ、時にふざけながらにこやかに空気を和ませてくださった浅井さんは、大学卒業後、「勤務地域限定」の地方採用としてJT(日本たばこ産業株式会社)に入社されました。当時の写真をご紹介いただきましたが、例えるならポルノグラフィティの岡野昭仁似のイケメンです。
ご本人曰く「どんなにがんばっても偉くなれない立場」からキャリアをスタートされたとのことですが、そのきめ細やかなコミュニケーションを通じた働きぶりを買われ本社勤務に。そして職場再建のプロと称され全国最年少所長に抜擢されました。
2001年より、自らも現場でマネジメントを行いながら、公益財団法人日本生産性本部・経営アカデミーなどのビジネススクールで多くの企業幹部、管理職、リーダーを指導。年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても活躍。
これまで指導したリーダーは1万人を超え、「意識と行動を変える超実践派」の第一人者として高い評価を得ていらっしゃいます。

信頼関係の土台をつくるリーダーシップ

皆さんご存知の「PDCA(Plan→Do→Check→Action)サイクル」。
「浅井さんはチェックをしてできていないことを叱り飛ばすのではなく、相談に乗ってくれて僕たちをケアしてくれる。マネジメントケアリストですね」という部下の言葉が、「マネジメントケアリスト」の由来だそうです。

経営アカデミーで教壇に立ち、多くの企業リーダーたちと、いいチームと残念なチームの違いについて学んできたという浅井さん。
業績が低迷しているチームの典型的な特徴は、できる人とできない人の二極化が進み、何よりも信頼関係が脆弱であるということ、またチームの力を発揮するというよりは、他のチームのことを「業績を争う敵」ととらえているケースが多いということです。
ここでマサチューセッツ工科大学ダニエル・キム博士が提唱するチームを成功に導く循環モデル「グッドサイクル」をご紹介くださいました。
まずは「関係の質」を高めること。信頼関係の土台を築いた上で「思考の質」を高め、これを行動に展化させると継続的に成果が高まる。すると益々信頼関係が高まる、というものです。
信頼関係の土台をつくるために必要なリーダーシップ。そのコアとなるのは「自分軸」。ナイチンゲールの「人にいかなることを成しうるかは、自分がいかなる人間であるかにかかわっている」という言葉を引用され、浅井さん自身も「人としてどうありたいか、なぜそうなりたいのか、それを実現するためにどんな行動を大切にしたいかを考え、人生の軸にしている」と教えてくださいました。

小さな工場の安全衛生担当からスタートしたキャリア

浅井さんが自分軸を作る上で最も大切にしていることは「人に誠実な関心を持てる人でありたい」ということ。
ご両親の離婚で幼い頃から母に育てられた浅井さんは、JTの採用試験で志望動機を聞かれ「働いておかあさんを楽にしてあげたい」と答えたそうです。
日本一小さな工場に勤務地限定で地方採用された浅井さんは、工場の安全衛生担当でした。
朝は工場のトイレに書かれた落書きを消すことからスタート。それは書かれた悪口を該当者の目にふれさせないようにとの配慮からでした。

工場では決められた帽子に作業着、安全靴の着用が義務付けられていましたが、ある職場ではそれを守らない人たちばかり。どんな人が注意しようと、ケンモホロロだったといいます。
そんな辛い日々の中、母親に電話をかけ「会社を辞めたい」と言ったこともあったそうですが、ある日励ましの手紙と共に届いた一冊の本がデール・カーネギーの名著「人を動かす」。この本との出会いが浅井さんの人生を大きく動かしたのです。

人の心が動くとき

「人に誠実な関心をもちなさい」
浅井さんはこの言葉に大きな衝撃を受け、そして、これまで人にやってもらいたいことしか口に出してこなかったことに気付きます。
毎日、葉タバコを蒸すため、蒸し風呂のような職場環境。その中で厚手の作業着を身にまとい作業する人たちのことをひとつも考えていなかったという浅井さんは、人に誠実な関心を持とうと、胸ポケットにメモ帳を入れ、誰がどんなことで困っているかなど、気が付いたことは何でもメモするようになったのです。

ある日、職場のAさんに小学生の娘さんがいて、ブラスバンドの決勝大会に出場することを楽しみにしているという話を耳にします。浅井さんはこれもメモしていました。
そのAさんが作業中、足を怪我してしまいます。安全衛生担当の浅井さんはその傷口をお湯で丁寧に洗い、消毒しながら、「お父さんだけの身体じゃないんですから気を付けてくださいね。何かあったら大好きな娘さんが悲しみます。」と語りかけたそうです。
それまで浅井さんを相手にもしてくれなかったAさんは涙を流し「ありがとう」と言ったそうです。「あの光景は未だに忘れられない」と浅井さん。
翌日、職場に行くと新品の帽子、作業着、安全靴を身にまとったAさんの姿があったそうです。Aさんは浅井さんとのいきさつを皆に話してくれ、ついには89名全員が作業着を着用するようになりました。その流れが工場内に広がり、生まれ変わった工場は、全国最優秀安全衛生表彰を授与されるまでになりました。
浅井さんはこの日のことを忘れまいと、こうメモします。
「人の心は肩書きで動くんじゃない」

そしてこうおっしゃいました。
「人間関係について私が学んだ最も大切な教訓は、人に誠実な関心を持つことです。」

コミュニケーションの大切さ

浅井さんは所長となっても、その分け隔てない細やかなコミュニケーションに変わりはなく、メンバー1人ひとりの頑張っている姿を忘れないよう「感謝帖」に書き記し、常に感謝の言葉を口にするよう習慣付けていたというエピソードも。

“愛”の反対語が“無関心”であるように、“ありがとう”の反対語は“あたりまえ”。上司ならば、部下の頑張りをあたりまえだとは思わず、その実行課程をしっかりと見て、感謝の気持ちを伝えられるといいですね」
そんな浅井さんの言葉に、参加者は皆さん大きく頷いていました。
上司に「ありがとう」と言われた記憶を持つ人は案外少ないといいます。

成果を出すためのマネジメント

人が働く目的は、その多くが食べるため、家族を養うため。ならば成果を出さなくてはなりません。成果を出すためには「自立」と「相互協力」が必要です。そして、その土台には社員同志の信頼関係がなければならないといいます。
組織にとって重要度が高く、また達成できていないと感じることのトップは人材教育だそうです。部下が増えるほど、一人ひとりに接する時間が減ります。そんな状況の中でどのような考え方や工夫で向き合えばよいのかと悩むマネージャーも多いのだとか。
ラーニングピラミッドを例に、学習定着率が最も高いことは「人に教える」ことで、学んだことを同僚に教えることで知識が定着し、教わる方もストレスなく吸収できるのだとか。また、会議やワークショップのやり方なども教えてくださいました。
また、人の成長に立ちはだかる最大の壁、それは「固定観念」であり、その怖さは自分の何が固定観念なのか自覚が持てないことにあるのだそうです。

自転車に乗る浅井さん

浅井さんは固定概念を吹き飛ばすべく、支店長室から飛び出して、なんと自転車でマーケットへ行き、クライアントの元へ駆けつけては顧客の声を聞いたといいます。
「我々の価値は社外にある。社内で上司の顔色を見るのではなく、マーケット、顧客を見て仕事をしようじゃないか!」が当時の口癖だったのだとか。
顧客との強固な信頼関係を築くためにまずやることは、とにかく話を聞くこと。
これも大切なコミュニケーションのひとつであることを教えてくださいました。


そんな浅井さんも定年退職を迎えようとしていた頃、娘さんが全国高校女子駅伝にキャプテンとして出場することに。ところが、応援に行った先で、娘さんが大会直前で補欠となってしまったことを知ります。大会後、メンバーのために裏方として頑張ったお嬢さんが口にしたのは、応援してくれたお父さんへの感謝の言葉と、「社会人になったら、お父さんのようにみんなを支えてあげられるキャプテンになりたい」という言葉だったそうです。
自分の背中を見ていてくれたことを知り、「自分の現役引退はまだまだ先。これからもマネジメントケアリストとして、悩み多きマネジメントを支えることに人生に注ごう」と決意。浅井さんの背中を押したのは、当時高校生だった娘さんの言葉でした。

光

最後に、「光」という文字の写真が映し出されました。この文字は、筋肉が動かなくなり最後はまばたきしかできなくなる難病を抱えた方が、その若い命を落とされる数日前に、口にペンをくわえ、渾身の力を振り絞って書いたものです。
この字を書いた方の想いを、浅井さんはこう教えてくださいました。
「動くことも会話もできない。早く死んでしまいたいとつぶやいた時に、光のように暖かく照らし、励ましてくださった方がいたんです。もし今度、元気で自由に動き回れる姿に生まれ変わることができたなら、自分が困った方に光のように暖かく励ましてあげられる人になりたい。そういう人生を歩んでみたい。」

続けて、「みなさんの大切な人生の多くを過ごす職場。どうか、みんなで光のようにお互いを暖かく照らし、いきいきと働ける職場を作ってください」という言葉で、約1時間の講演は締めくくられました。


実体験から語られる浅井さんの言葉には、説得力とやさしさと、人を動かす力がありました。
母からもらった一冊の本のように、たったひとつの出会いがきっかけで目の前が拓ける、そんな経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「人に誠実な関心を持つ」。それは組織だけでなく、人間関係において大切なことなのだということを知る機会となりました。


浅井浩一 公式サイト http://ayayagakkou.com/





今年の新年会は、いつもの華やかなパーティーも、会員同志での情報交換の場もなく、「リアルで皆さんに会いたかった!」というご意見も多く寄せられました。
元通りになることは簡単ではないかもしれませんが、皆さんのご要望やご提案を伺いつつ、工夫をしながら運営して参りたいと思います。

キャリア研究会は、キャリアアップしたい女性のネットワーク作りの場として、今年も様々なセミナーやイベントを企画しております。
「お試し参加」も可能ですので、ご友人や同僚の方とお誘いあわせの上、お気軽にご参加ください。
※くわしくは「入会方法」をご覧ください。

受講者の声

   
  • オンラインでどうなるのか、と思っていましたが、浅井さんのお話にぐんぐん引き込まれ、最後は感動で涙していました。
    情熱をもってお話しされる姿はオンライン越しにも伝わってきました。
  • とても共感できるご講演で勉強になりました。「人に誠実な関心を持つ」、早速、現場のスタッフ教育に活かしていきたい言葉です。
  • コロナ禍でマネジメントの手法は変わってきても、「人に誠実な関心をもつ」ということは不変なことですね。記録に残すことを実践していきたいと思います。大変心に響く講演でした。ありがとうございました。
  • お話が面白く、また、過去の自筆のメモや最後の光の文字など、とっても説得力が増しました。同じ食品メーカーの話は共感どころも沢山。今、コンプライアンスで、来年度の職場の活動を検討しているところですが、参考になる話が多く、活用しようと思います。インプットしたことを人に教える、実践していきたいです。どうもありがとうございました!!
  • あややさんの講演は、以前にも聴講する機会がありましたが、時間がたって日頃意識できていなかったところなども多く、反省する機会となりました。オンラインという形であっても、ハートのこもった講義が深くささります。この熱気を忘れないよう、行動につなげていければと思いました。講演を企画していただき、ありがとうございました。

(セミナー後の受講者アンケートより抜粋)

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

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