キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2020年1月26日(日)11:10~14:45
場 所 日立目白クラブ
会 費 \6,500
内 容 2019年の活動報告、講演会、パーティー
テーマ すでに始まっている未来をどう生きるか
講 師 若宮正子
ITエヴァンジェリスト/デジタルクリエーター
参加者 53名

 

令和最初の新年会

日立目白クラブ

今年も恒例となりました新年会が開催されました。
前日までは都心でも降雪予報で天気が心配されましたが、朝方降っていた雨も会場に到着する頃にはあがりホッと一安心。
会場の日立目白クラブでは、道路整備の都合により、見慣れたエレガントな門も見納めになるとのことで、記念写真を撮る方も多かったようです。





野木会長

さて、令和最初の新年会は、野木会長の挨拶で始まりました。
セミナーや研修旅行、分科会など、昨年の活動報告と来年の予定、そして現在400名を超える登録者情報を整理してデータベース化したい旨などのお話がありました。
また、今年の国内研修先は宮城県南三陸町、石巻市、気仙沼市。東日本大震災の復興状況の視察、課題の把握と今後の支援について考える会になることが伝えられました。
発生から10年目を迎えるタイミングとなりますので、現状を知っていただく機会になればと思います。

講演『すでに始まっている未来をどう生きるか』

若宮正子氏

続いて、メディアでも多く取り上げられているITエヴァンジェリスト、デジタルクリエーターの若宮正子さんに「すでに始まっている未来をどう生きるか」と題し、お話いただきました。

若宮さんは現在84歳。58歳の時にパソコンを購入され、お母様の介護をしながら、当時の高齢者交流サイトを楽しむなど、インターネットで多くの情報と友人を得られたそうです。この経験から、高齢者がITリテラシーを持つことがいかに大切かを実感され、以降ITエヴァンジェリストとして活躍。
2017年にはゲームアプリの「hinadan」を開発。これが新聞に掲載されたことがきっかけで、米アップルが年に1回開く「世界開発者会議」に特別招待されました。そこでCEOティム・クック氏より「世界最高齢のプログラマー」として紹介され、一躍注目を浴びました。

参加者を引き付けるリズムとユーモア

「みなさんこんにちは!若宮正子です。みなさん私を“マーチャン”と呼んでいます!」

ユーモアたっぷりに、元気な第一声であっという間に参加者たちを釘づけにした若宮さん。
「私、思いもかけず3年前ににわか有名人になっちゃったのね。だから81歳で死んでいれば普通のおばあさんで死ねたのに、あれよあれよという間にとんでもないことが起きてしまって…。」
そうあっけらかんと話す若宮さんに、会場は爆笑の渦。すっかり「マーチャン」のファンとなりました。

とはいえ、有名になることは悪いことばかりではなく、なかなか行けない場所に行けたり、めったに会えない人に会えたり、いろんなことを体験し、それをフェイスブックで配信していらっしゃるとのことです。
現在は、メロウ倶楽部の副会長、NPOブロードバンドスクール協会理事、熱中小学校教諭、政府関連の仕事や国内外での講演会、執筆などなど、精力的に活動をしていらっしゃいます。

メロウ倶楽部はシニアの交流サイトで、電話回線を使ったパソコン通信の時代から活動されており、インターネットが普及してからは年会費を集めて自主運営。
車椅子から降りられない人も社会参加できるような仕組みになっているとのこと。
総会やオフ会なども、体の自由が利かなかったり、介護などで来られなくても、インターネットで投票などができたり、ライブ放送をしたりして参加を可能にしています。
有料でありながら20年も続くというのは、需要があるということなのでしょうと若宮さん。
また、熱中小学校は、20代から80代までが集まる大人の学校で、人に投資をしながら地方創生をすることを目的に活動されていらっしゃるそうです。

次から次へと驚くほどの活動内容をリズムよく語られる様子に、一言一句聞き逃すまいと、皆、耳を傾けました。

私は、創造的でありたい

昨年放送された「徹子の部屋」をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、若宮さんは表計算ソフトExcelを使いデザインをする「Excel Art」をされています。
ご自身がデザインした模様を生地にし、ご友人に依頼してブラウスやドレスを作ったり、3Dプリンターを使ってペンダントやバッグなども作られています。
この日着用されていらっしゃったブラウスもExcel Artでデザインされたもの。
2018年秋には園遊会にも招待され、Excel Artで作ったドレスとバッグは当時の皇后陛下の目にも止まり、お話されたようです。

「Excelなんて年寄りには何の面白みもない。お小遣い帳を付けるのに13ケタの計算は必要ないし、折れ線グラフが作れると言っても、血圧のグラフじゃつまらない。」
こんな思いがきっかけで、Excelをデザインツールにしてしまった若宮さん。
「楽しみたい」という気持ちが、発想の転換となり、世界的に有名となった「hinadan」の開発へとつながったようです。

なぜ、プログラミングをすることになったか?

「そもそもプログラミングをしようなんてサラサラ思わなったし、今もない。」と言い切る若宮さん。
では、なぜゲームアプリを開発されたのでしょうか?
スマートフォンは使っているけれども、高齢者が面白いと思えるアプリがないことから、若い開発者の友人に「何か年寄りが楽しめるアプリ作ってよ。」とお願いしたところ、「僕は年寄りがどんなものが好きかわかりません。若宮さん自分で作ってよ。作り方なら僕が教えます。」と言われたのがきっかけなのだとか。

その開発者は宮城県の方ですが、なんと「スカイプやメッセンジャーでファイルを共有してもらえれば問題ない」と、入門書を片手にプログラミングに挑戦!
「きっとプロが見たら笑いが止まらないようなプログラムだと思いますが、とにかく人形が動けばそれでいいということで、何とかできました。」と若宮さん。
アップル社の審査を通りiPhoneアプリとして登録され、ゲームアプリ「hinadan」は誕生しました。
それが新聞に載り、CNNのインタビューを経て40カ国以上に配信されたそうです。
この時のことを、「ある友人から、『マーチャンの記事がアルジャジーラに載っとったよ』と言われましてね。」と笑いを交えてお話くださいました。

昨年ティム・クック氏が来日した際に再会。「hinadan」の多言語化を勧められ、現在は英語版、中国語版、韓国語版も公開されております。

「創造することこそ、人工知能や動物にはできない最も人間的な活動だと思います。」
だからこそ「私は、創造的でありたい」という若宮さんの言葉に、心を揺さぶられた方も多かったのではないでしょうか。

思い立ったらまず行動

エストニアが電子政府であることを知ると、早速一人で現地へ行かれた若宮さん。
高齢者の利用実態を調査するためです。まずは役所で話を聞くと成功の秘訣は、電子政府を作るにあたり、政府と民間企業の垣根を取り払い、エンドユーザーの要望を取り入れ、ユーザビリティにとことんこだわったこと。
滞在中に現地で行ったアンケートにも約100人のシニアが応じ、主にeバンキングを利用している人が多いことなどがわかったそうです。
若宮さんご自身もエストニアの仮想住民になって便利だと感じたことは、パソコンを開いてIDを入れると、健康保険、かかりつけ医や通院履歴、処方箋などの情報が同じページに表示されるという点。「自分の情報は自分で管理する」という点が日本とは考え方が異なる
ようです。
興味を持って思い立ったらすぐ行動に移す若宮さんは、若い頃から一人で世界中を旅することが好きだったといいます。84歳の今も変わらず世界を駆けめぐっていらっしゃいます。
ITエヴァンジェリスト、デジタルクリエーター“マーチャン”の今後の動向に目が離せません。

45分の講演でしたが、この他にもたくさんお話くださいました。
その内容もさることながら、テンポよくお話される姿には本当に驚きました。

講演後、聴講者のみなさんに感想を伺ったところ、
「そろそろリタイア後のことを考えなければと思っていたがそんな場合ではない」
「80歳まで生きられたらいいと思っていたが、100歳までは生きると決めた」
「何事にも遅いということはない」
など、考えを新にしたという意見ばかり。
自身もメディアに取り上げられ、講演もされているある経営者の方がおっしゃった「今まで聴いたどの講演よりも感動しました!」という言葉に、若宮さんの講演がいかに素晴らしいものであったかが集約されているのではないでしょうか。


大盛り上がりの懇親パーティー

乾杯

講演でボルテージが上がった中、若宮さんを交えた立食パーティーは、はこだて未来大学教授の大場みち子さんの乾杯でスタートしました。
色とりどりの料理とお酒を楽しみながら、久しぶりの再会に話が弾み、自己紹介や情報交換をしたり、写真を撮ったりと、有意義に時間を過ごされたのではないでしょうか。
後半、今回初めて参加された8名の方々に一言ずつご挨拶を賜りましたが、その頃には既にキャリ研メンバーとして溶け込まれていらっしゃったようです。

さて、今年のアトラクションは、キャリア研究会メンバーでもある、アリア ミュージックオフィスの堀口直子さんと、ご主人で「殺陣舞 大髙流」代表の大髙敏宏さんによる「ピアノと舞によるパフォーマンス」。本来は剣を手に舞う「殺陣舞」ですが、会場が歴史的重要建造物に指定されていることから扇子に持ち替え、美しいピアノ演奏の中、力強くも優雅な舞を披露していただきました。

そして、昨年披露された「キャリ研数え唄」を、小林副会長の伴奏と幹事の飯岡さんのリードで歌いあげ、自称“いい女たちの集まり”キャリア研究会新年会は、初参加の金藤順子さんの一本締めでお開きとなりました。


キャリア研究会は、キャリアアップしたい女性のネットワーク作りの場として、今年も様々なセミナーやイベントを企画しております。
ご友人や同僚の方とお誘いあわせの上、お気軽にご参加ください。

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

今後の開催予定は、こちらから