キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2019年10月9日(水)19:00~21:00
場 所首都圏ソフトウェア協同組合事務局 2F大会議室
会 費2,500円(軽食費込)
テーマ ファイナンシャルプランナーが教える 年金不安時代のマネープラン
講 師 有谷 幸弘 ソニー生命保険 ライフプランナー
参加者 16名(欠席2名)

 

セミナーの模様

10月9日の講師は、ソニー生命保険 ライフプランナーの有谷幸弘さん。

有谷さんは、1985年デジタルフォントのトップメーカーに入社。社内OA構築などでデジタルを学んだ後、デジタル部門の営業に転籍。毎年のように販売記録を更新されました。その後、ソニー生命よりスカウティングを受け、2002年転職。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相続診断士、投資診断士など、多くの資格を取得され、現在、生命保険を中心に、損保、住宅ローン、投資型年金、確定拠出年金など、金融の総合コンサルタントとして活躍されていらっしゃいます。
また、世界の生命保険・金融サービス専門職の中でもトップクラスのメンバーで構成される「MDRT(Million Dollar Round Table)」の終身会員でもいらっしゃいます。

今回のセミナーでは、現在マネープランがなぜ話題になり、関心が高まっているのかという根本的なことから、その必要性と、何を選べば良いかなどについてお話いただきました。

マネープランに関心が高まったワケ
老後資金2000万円問題の発端となったレポート

「最近よくお問い合わせいただくのは、“今、急にマネープランと言われても、何を選べばいいのかわからない”ということ」ですが、「マネープランは“考えた方がいいよ”というレベルの時期は既に過ぎており、一言でいうと“急務”とも言える段階にきています」と有谷さんは言います。

今回、配布されたセミナー資料の中に51ページにわたる「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」がありました。
この資料をパラパラとめくる参加者の中から、「あれ?これって例の2000万円問題の?」という声が聞こえました。
この資料は、今年話題になった「老後資金2000万円問題」の発端となった資料で、インターネット上で公開されており、誰でも入手可能なのだそうです。
これをセミナー用にわかりやすくまとめた資料を使って、内容をご説明いただきました。

資料の前半には、平均寿命が伸びる中、「健康寿命」と「何らかのサポートを受けながら生活を送る年数」、そして、我が国の高齢者は世界的に見ても元気で、高い比率で就労し、思考レベルも高く、60代の3/4がインターネットを使っていることなど、日本における高齢化社会の実情がまとめられています。
そして、21ページ目に「平均支出と老後の平均収入を計算すると、平均して月々5万円が不足しており、貯蓄のある人はそこから補てんすることになるが、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要になる」ということが書かれています。

この部分が国会で問題となり、マスコミを通じで「老後資金2000万円問題の発端」となって独り歩きをし、良くも悪くも多くの人が資産形成を真剣に考えるきっかけを作りました。
しかし、この資料の本題はこれ以降に書かれているとのこと。
「実によくできた資料です。この資料を作った人たちは、まさかこの部分を切り取られ、問題になるとは夢にも思わなかったでしょう」と有谷さん。
「私たちの気持ちを代弁している内容ですので、時間があったら是非読んでみて欲しい」とのことでした。


金融リテラシーの低い日本

残念ながら、日本国民の金融リテラシーは先進国の中で最低水準だと有谷さんは言います。
直近20年間での日米の個人金融資産の推移を見ると、日本は+27.2%であるのに比べ、アメリカは+131.4%とその差は驚くほど。どうやら、「現金・預金」と「投資商品」の保有比率の差が、この違いを生んでいると考えられるようです。
日本における個人金融資産の比率は、1999年12月末時点で「現金・預金」が54%を占めており、約20年経った2018年3月末時点でも53%と、ほぼ変わらない状況に有谷さんは警鐘を鳴らします。
1999年といえば、住宅ローンの金利が2%~2.8%程度(現在はおよそ0.4%~1.3%)だったことを考えると、現在よりも「現金・預金」の比率が高いのもやむを得ませんが、マイナス金利となったこの状況でのこの比率には、やはり危機感を覚えますとのことでした。
世界でマイナス金利を実施しているのは、スウェーデン(2009年~)、デンマーク(2012年~)、スイス(2014年~)、そして日本(2016年~)の4カ国で、共通点は高齢者が多い国であること。
中でも2009年に世界に先駆けてマイナス金利を開始したスウェーデンは、既に景気も回復し、金利をプラスに戻す動きがあるのですが、現在でも出口協議が続いていてマイナス金利を継続中です。このような状況からも、日本が今後、数年以内にマイナス金利をやめる可能性は極めて低いとのことでした。それを裏付けるように、日銀の黒田総裁の「物価上昇率2%UPを達成したらやめる」との発言もありました(現在の状況では物価上昇率2%UPの達成は極めて難しい)。

 

年金はなくならない?!

2001年に設立された、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、年金積立金を長期運用しています。設立当初は約95兆円だった資産額が、2019年では約160兆円を超えており、17年間でおよそ66兆円の収益を実現しています。
GPIFは年金を枯渇させないための一つの政策で、もちろんこの収益は、年金を支給しながらの数字です。
どこかの新聞で「GPIF存続の危機」という報道がありましたが、資産運用が直線的に上昇することはあり得ませんし、多少もブレも出てきます。これを、マイナスになった瞬間を切り取って報道していたとしたら、それはフェイクと言わざるを得ません。
新聞やテレビなどでさまざまな情報が飛び交いますが、統計やGPIF、金融審議会の報告書のようなものをきちんと読み込み、ご自身で正確に判断した方がよいとのことでした。
マネープランを考えるためには、金融リテラシーを上げることが国民にとって急務であると有谷さんは何度もおっしゃいました。

「iDeco」と「NISA」

資産形成の補助的な政策として、国が用意した制度が「iDeCo」と「NISA」です。
「iDeCo」は積立期間が60歳までなので、開始するのであれば積立て期間が10年以上ある方、控除額はその人の税率に比例しますので、年収が高いほど戻ってくる控除額も高くなります。ただし、60歳までは出金も借入れもできないこと、また別途に手数料がかかることも要注意とのことでした。

そして「NISA」。NISAには、「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の三種類があり、「NISA」「ジュニアNISA」は上級者向けなので、「資産運用については初心者」を自認する人には、金融審議会の報告書でも推奨している「つみたてNISA」がオススメとのことです。ただし、「NISA」と一緒に「つみたてNISA」口座を持つことはできません。
リスク商品を「積み立てる」ことを時間的分散投資といい、投資金額を均衡化することで「高値掴み」を避けることができます。つみたてNISAは、「積み立て」で安心な上に、選べる銘柄は金融庁が「安全であろう」というお墨付きで認可した約150銘柄のみですので、おそらくリスクを伴う金融商品の中では最も安全だと言えます。

「アベノミクス」については、成功かどうかの答えはまだ出ていませんし、今でも賛否両論ありますが、当時から企業型確定拠出年金(iDeCoの前身)をされている人や、持株会に入っている人、その他、金融に携わる人は「アベノミクス」が始まった時の経済が大きく動く様を実感していたはずです。バブル以来と思えるほど、大きく経済が動きました。等々、いろいろなお話をしてくださいました。

「まだまだお話したいことは沢山あります」
1時間という短い時間に、マネープランの基礎編をわかりやすくお話くださった有谷さん。
「まだまだ聞きたいことが沢山あります」と、この後の質疑応答でも、参加者からの資産運用に関する質問にも丁寧にお答えいただきました。

つみたてNISAは、投資できる期限が2037年までの20年間限定でしたが、今回のセミナー2日前に、開始期限に関わらず20年間投資できるというようにルール改正されたというホットなニュースもありました。
資産運用を難しく考えて、なかなか始められなかったという参加者も多かったようですが、まずは「iDeco」と「つみたてNISA」から始めてみては?というのが、2400人の顧客を持つライフプランナー 有谷さんからの提案です。

老後資金2000万円問題は発端で関心が高まるマネープラン。
キャリア研究会のセミナー参加者からも要望が多く寄せられていましたが、既に「続きを希望」との声もあがるほどの反響でした。




キャリア研究会では、今後もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご興味、ご都合に合わせ、是非ご参加ください。


受講者の声

   
  • どこから始めてよいか分からないと思っていたので、本日の会はとても有意義でした。
  • まずは自分の目で確かめるということが大切ということがよくわかりました。
    つい目の前の生活を優先してしまいがちで、きちんとお金のことを考えられていない所があったのを反省しました。iDecoすぐにやろうと思いました。
  • 年金2000万の基となる資料を初めて見ました。
    わかりやすく説明していただきありがとうございました。
    マスコミに振り回されない、しっかりした金融リテラシーを持つことが大事だと思いました。
  • 第二回、第三回の続きを期待しています。
  • iDeco、NISAで運用していましたが、つみたてNISAを始めようと思います。
    大変参考になるお話でした。

(アンケートより抜粋)

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

今後の開催予定は、こちらから