キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2019年5月15日(水)19:00~21:00(開場18:30)
場 所ミューザ川崎 研修室3
会 費2,500円(軽食費込)
テーマ 「はたらく」を考える ~目的志向で天然で~
講 師 伊藤 直子
日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 主管技師長 兼 人事総務本部 本部員
参加者 17名

 

セミナーの模様

5月15日の講師は、キャリア研究会メンバで、日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部でご活躍中の伊藤直子さん。

伊藤さんは、結婚を機に移住した名古屋で、現在の日立ソリューションズへ入社。SEを経て、働き方改革のエバンジェリストとして活躍されています。

企業に勤めて28年。自身が働いてきた経験や働き方改革の取り組みなどをお話いただき、「はたらく」ことについて、改めて考えてみました。



「はたらく」について考える

鹿児島県出身の伊藤さんは、都内の大学を卒業後、キャリア研究会の野木会長が当時部長をしていたCIJに入社。結婚を機に退職し名古屋へ移住されました。そこで、当時の日立中部ソフトウェア、現在の日立ソリューションズへ入社。SEを経て、数年前より働き方改革のエバンジェリストとして社内外で活躍され、各種メディアにも多く取り上げられています。
名古屋の企業に入社したはずが、現在は東京に本社を置く社員4,700名企業となり、1年の半分以上は出張のため東京-名古屋を往復しながら、働き方改革を推進されています。

2019年3月に実施されたソニー生命保険の調査によると、働く女性の3人に1人が「本当は専業主婦になりたい」、専業主婦の3割強が「本当は外に働きに行きたい」(20代で7割、30代で5割強)と思っているという結果が出ています。
これを見て、どちらを選んだにせよ、迷っている人が多いという現実に、伊藤さんは「あくまでも持論ですが」と前置きして言いました。

「健康で働ける条件がある大人なら、働くのは当たり前。なぜ女性だけが働くことと専業主婦になるという選択肢を持つのか。働くことでいろんな選択肢が広がるのに。」

「はたらく」ことに迷いを持つ人への第一声は、「自分のスタイルで、自分のできる範囲で、自分がやりたいカタチで働けば良い。もっとシンプルに考えれば、迷いもなくなります。」という言葉でした。

自身の経験から思うこと

伊藤さんは30代半ばで、上司から打診された管理職を「まだいいです」と、一度断ったそうです。その時は「覚悟もなく、よくわからなかった」というだけの理由だったそうですが、その半年後、体制上の理由から課長になりました。
一度断った後に課長になるための条件を自問自答。「(課長になるための)資格はあるし、じゃあいつならいいの?」そんな問いかけをしていると、徐々に管理職を受け入れる気持ちの準備ができたのだそうです。
「管理職は役割分担。チームメンバがうまくより良く働けるように整える仕事だ。」と理解し、みんなが効率よく仕事ができるよう調整する方が自分には合っているかもしれないと前向きにとらえ、納得して課長職の打診を受けたようです。

2014年頃から世間的にダイバーシティの流れもあり、社内の女性管理職数を増やしたいという目論見を感じつつも、「会社だってむやみな昇格はさせないだろう」と部長職へ。
管理職を拒む女性が多いが、社内では「管理職になるのは上げた人の責任なので、あまり難しく考えずに打診があれば受けた方がよい。」とアドバイスしているとのこと。
「管理職になってから、そのことを嫌がり続ける女性は見たことがない。」と伊藤さん。
管理職に推挙される人は上長も人事も認めた人なので、自信を持って受けるべきだと言います。

「働き方改革」は私がやりたい仕事

自社における働き方改革の推進のほか、2年前から「ワークスタイル変革ソリューション」を立ち上げ、事業としてお客様企業の働き方改革を支援している伊藤さんですが、「働き方改革は自分がやりたくてやっている仕事」だといいます。
そのきっかけは、とある社内研修での出来事でした。

それまで「サラリーマンとはこんなもの」と与えられた仕事を淡々とこなしていた伊藤さんですが、社内の部長研修で講師に徹底的なダメ出しされたのだとか。
「自分が本当にやりたいことが何なのかをよく考えろ!」と言われ、「さすがにヘコみました」と伊藤さん。
一旦、既存の事業から考えるプロダクトアウトの発想を取り払い、お客様と同じ立場で考えられることは何か、そして当時の自部門の長時間残業などの問題を解決したいと考えた時に辿り着いた答えが「働き方改革」でした。当時、社内にはそのような事業はなかったものの、自部門でまずやってみたいとアピール。
その後、たまたま働き方改革をテーマに取り組もうとしていた会社側がこの噂を聞きつけ、伊藤さんは立ち上げメンバとして活動を開始しました。
「考えることで目的意識を明確にし、それを発信し続けることが大切。自分が携わる仕事のコンテンツに想いがあるほうが、モチベーションとして強い。今後も解決したい課題の取り組みに関わりたいが、それができるという可能性を感じている。」という伊藤さん。
どうやら伊藤さんには、既に次の目的があるようです。

 


仕事について思うこと・私生活について思うこと

「仕事について思うこと」はいくつかあるようですが、その中から「女性は自信がない」についてご紹介します。
自信があってもなくても、仕事はしなければなりません。
日経ARIAに掲載されていた、サリー・ヘルゲセンの「前置きは発言の価値を低くする」という記事を例に、自信がない人は、「重要ではないかもしれませんが」や「お役に立てるかわかりませんが」などの前置きをしがちですが、このような「自分を小さくみせる発言はしない方がいい」とのことでした。
例えば、誰かの講演を聴きに行くのに、そんな前置きを「謙虚」ととらえる人はいません。
「私もそういう前置きはしないと決めました。」と伊藤さん。
これを聞いて、はっとした人も多かったのではないでしょうか。

それから、私生活では、大学生の息子さんとライター&フォトグラファーのご主人がいらっしゃる伊藤さん。ポジティブで「ハンサムウーマン」という言葉がピッタリの伊藤さんですが、いろいろな問題にも直面してきたようです。
「働くことはリスクヘッジ。何があるかわかりません。」と、仕事を続けてきました。
そんな中、息子さんが5歳の時に、保護者会の会長を引き受けて感じたことは、「専業主婦はとても仕事ができるのにもったいないといういうこと。「専業主婦は、自分のダンナさんだけでなく、もっと外で承認されるべき」と言います。
また、育児休暇後には「みんなギリギリのところで生きている」と常々感じているのだとか。
例えば「私はこんなに残業しているのに、あの人は定時で帰っている。」など、他人と比較する人がいますが、「これは自分の評価を下げるだけ。みんなギリギリのところで生きているのだから、助け合いましょう。」というのが伊藤さんの考えです。

 


女性の活躍について思うこと

伊藤さんが務める会社の女性管理職比率もまだまだ低いそうですが、自身は「本当のダイバーシティとは男女とか障がい者などに関係なく、個人の全員がダイバーシティ。そういうところまで行けるといいな。」と考えているそうです。

輝かなくていいから普通に働こう。働くのは大人として普通のこと。みんな違って、みんないい。管理職になることだけが道じゃない。これは男性も同じだと伊藤さん。
また、よく聞かれる「ロールモデルはいたほうがいいか?」という質問については、いないほうがいいこともある。自分がポジティブになるために、考え方や行動のサンプルにするモデルをたくさんもっているのはよいとのことでした。

最後に、息子さんにも中学の頃から唯一ずっと言い続けている、はたらく上で(生きる上で)大事にしていることをご紹介いただきました。
それは、「すべては自分が選択している」ということ。
選択した結果失敗してもそこからまた別の選択をすればいいが、とにかく自分が選択したことだということを自覚することを大事にしているとのことです。
人のせいにして生きることはしたくない、という思いが強いようです。

今回のセミナーで何度も言っていた「大人は働くのが当たり前」「自分のスタイルで働けばいい」という言葉。
「働くことはリスクヘッジ。何があるかもわからない。」という伊藤さんが、企業で働きながら直面した様々なことをその都度まじめに熟考を重ね出した答えは、とてもシンプルで説得力があり共感できるものでした。
働き方改革の先に見えている次の課題に、今後どのようにアプローチし、解決していくのか、とても楽しみです。


実はこの日の夕方、都内で発生した列車事故で交通遅延がありました。
伊藤さんも影響を受けたひとりで、当然セミナーは開始時間を遅らせざるを得ない状況でした。もしかしたら、来られない人もいるかもしれない。
そんな中、19時ピッタリに「間に合った!」と会場入りした伊藤さんに、その場にいたメンバはびっくり!
既に数人の方から遅れるとの連絡が入っていたため、セミナーは20分程遅らせての開始となりましたが、出席率も100%。
まるで何もなかったかのようなオンスケジュールで、奇跡のセミナーはお開きとなりました。



伊藤さんの講演/掲載誌のご紹介 ※一部をご紹介します



今後もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご都合に合わせ、是非ご参加ください。


受講者の声

   
  • 物事の見方を別の視点で見ることの大切さを感じました。前向きな気持ちになりました。
  • 「自分が本当にやりたい、解決したいのは何?」と考えてターニングポイントになったのは良かったですね。運も実力!ですね。
  • 働くのが当たり前、自分が働く目的、シンプルに考える事を思い出して元気になりました。ありがとうございます。
  • ハンサムウーマンという言葉がぴったりの伊藤さんの講演は爽やかなお人柄が表れていてお聞きしていてとても心地良かったです。心に残った言葉は「みんなギリギリのところで生きている」「期待させすぎないほうがいい」「プロジェクトリーダーはメンバーにハッキリ言うことが大切」。今日は本当に参加して良かったです!

(アンケートより抜粋)

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

今後の開催予定は、こちらから