キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

Site map

自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

<<活動履歴へ戻る

開催報告

開催日 2019年4月10日(水)19:00~21:00
場 所首都圏ソフトウェア協同組合事務局 2F大会議室
会 費2,500円(軽食費込)
テーマ もめんあれこれくしょん~元気があれば綿(めん)でも出来る~
講 師 原田 浩太郎
ハニーファイバー株式会社 代表取締役・おたふくわた九代目
参加者 26名(欠席2名)

 

セミナーの模様

4月10日の講師は、ハニーファイバー株式会社 代表取締役・おたふくわた九代目の原田浩太郎さん。
原田さんは、大手電気メーカーや関連会社で営業マンとしてご活躍後、家業である天保(1840年)創業のハニーファイバー株式会社(商標名・おたふくわた)に入社。2006年、九代目社長に就任されました。

自身が学生時代に経営危機を迎え、一度寝具業から撤退した老舗の寝具メーカーを「おたふくわた」ブランドとして復活させ、ニューヨークにも展開した経営手法とは。
また、願いを叶えるために大切なことについて、お話いただきました。


バイタリティの源は“コンプレックス”

にこやかな笑顔と軽妙な語り口、バイタリティ溢れるオーラをお持ちの原田さんですが、「僕はコンプレックスの塊なんです」という意外な言葉からセミナーはスタートしました。

天保(1840年)創業の現ハニーファイバー株式会社(商標:おたふくわた)を営む家庭に生まれ、現在おたふくわた九代目として、またFMラジオへのレギュラー出演のほか、各種メディアに出演されるなど、大活躍の原田さんですが、学歴、容姿などにコンプレックスがあったといいます。

そうそうたる学歴の家族。その中でコンプレックスを感じていた原田さんは、大学を卒業後、大手電気メーカーに就職。その後、家業を継ぎますが、会社経営しながら大学院へ通われ卒業されました。
家業である老舗の寝具メーカーは、経営危機で一度寝具業から撤退。
当時学生だった原田さんは、インターネットで「おたふくわた」を検索します。そこで目にしたのは「過去のブランド」という文字。また、有名百貨店の寝具コーナーでは、わた布団が誤った認識をされていることを知り、一念発起。家業を「おたふくわたブランド」として復活させ、一流職人による手づくりのわた布団、座布団、腰布団などを展開。今やニューヨークでも大人気となっています。

このように、「コンプレックスがバイタリティの源」と語る原田さんですが、その営業手腕には独自に編み出された秘策があるようです。


嘘から出たまこと

原田さんは、大学卒業後、大手電気メーカーに就職されました。
体育会系でバイタリティがあり、話し上手。そんな原田さんに、上司は新規営業の開拓を命じたそうです。
朝から晩まで営業開拓をする中、上司に断りを入れ自身がネーミングしたキャッチフレーズを武器に、名だたる企業とアポを取ることに成功。上司からは「本当に大丈夫か?」と心配されるほどだったとか。
そして、「営業の原点だった」と語る、あるラジオ局との一年にわたる商談。
何度も何度も足を運び、受付や警備員とも顔見知りになっていたそうです。
しかし、そのラジオ局には既に大きなスポンサー兼取引先があり、原田さんは相見積などにうまく利用されていただけ。一年経ったある日、当時の担当者からそのことについて、おわびと共に「もう来なくて結構です」とメールが届きました。
それでも翌日、原田さんはラジオ局を訪れました。担当者はさぞ驚いたことでしょう。
怒られるのではないかという不安をよそに、担当者は言ったそうです。
「君には負けた」と。
大手メーカーに決まっていた契約の一部をいただいた原田さんは、帰りの電車の中で号泣したそうです。
会社に戻ると、既に部長には「ああいう営業マンがいるとは、おたくは素晴らしい会社だ」と連絡が。原田さんは入社3年目にして社長賞を受賞されました。
実は、縁故入社だった原田さん。これをきっかけにそのことが知られることとなりましたが、営業実績を知る人たちがそのことを悪く言うことはなかったそうです。

 

おたふくわた九代目に

大手電気メーカー入社5年目のこと、飲食業に転身しようと修行先を見つけ、退職届けを提出します。
送別会の前日、仏壇に線香をあげてそのことを報告すると、そのまま立てなくなり涙が止まらなかったそうです。「それは違う」という声が聞こえたのだとか。
転身するはずだった飲食業をやめ、家業を継いで九代目になることを決意します。
過去に寝具業から撤退し、590名の社員を解雇した「おたふくわた」を復活させることは並大抵のことではありませんでしたが、いろいろな人たちの支えもあり、今日に至ります。
復活を果たすまでの2年の間、いろいろなお店をリサーチ。わた布団に対する誤った認識を耳にし「頭にきた」といいます。
それが、おたふくわたを復活させる一番の原動力となったようです。
腕の良い職人を探し、以前は下請けだった会社に赴き、一軒一軒頭を下げてまわったそうです。ある綿工場へ行った際、「ごめんね、足にいっぱい綿が付いちゃって」と言った社長さんは、「大丈夫です。綿ですから」という原田さんの一言に涙し、おたふくわた復活の力になってくれたといいます。

営業の原点に立ち返る

復活を果たしたおたふくわた。大手電気メーカーで培った営業力がここで発揮されます。
布団を持って、なんと70件の雑誌社に飛び込み営業。そこで「嘘から出たまこと作戦」を使い、アクティブシニア世代向けの雑誌担当者に面会。無料広告を掲載してもらい、わた布団100枚を販売。
次の出版社でも、シニア層の女性向け雑誌に広告が掲載され、今度は200枚を販売したそうです。

「嘘も方便。熱意ある嘘は通じる」と、原田さんは笑います。
でも、売れたのは腕のいい職人さんが作ったいい布団だから。自信を持てる商品だからこそ、その熱意が通じ、それが広告媒体を通じて消費者の購買意欲を揺り動かしたのではないでしょうか。

その後も百貨店のバイヤーに「ダサい」と言われながら何度も足を運び、展示会に出品したり、バイヤーの一言がきっかけで、7年間前にはニューヨークのギフトショーに座布団を出品。これがニューヨークに小さな拠点を置くきっかけとなりました。

小池都知事が環境大臣の際に紹介した腰布団がウォームビズ商品になったり、相撲の幕内座布団からヒントを得た「のび太のお昼寝座布団」が大ヒット。二つ折りの枕になる座布団は父の日のプレゼントとしても人気に。
その他にも、歌舞伎の観賞用座布団やメガネ布団など、様々な商品を作っては販売していらっしゃいます。

そして、現在は環境問題にも取り組まれています。
全国の粗大ごみの1位が布団なのをご存知ですか?
羽毛布団や低反発布団などは引っ越しのタイミングや、10年くらい使うと捨てしまう方が多いそうです。
わた布団は何度でも打ち直しができるのですが、それでも処分されるというお客様からは布団を引き取り、わたをリサイクルコットンにしたり、公園の土に埋めて土に還したり、布団農法などの活動をされていらっしゃるそうです。

「わた布団は通気性が良いので、天日に干すとかさが戻り、掃除機をかけると、とても清潔に使えるんですよ」と原田さん。
お布団を天日に干すと本当にいい香りがしますよね。

願いを叶えるために

願いを叶えるための5つのことを教えていただきました。


  • しつこく、しつこく、しつこくいくと必ず願いは叶う
    仕事はしつこくいけば願いは叶う。コンプレックスを持ち、それをパワーに変えて情熱的に。
  • 商売駅伝
    商売をしている以上、次にたすきを渡すことは必要なこと。
    駅伝同様、途中でたすきの色が白に変わってはダメ。
    与えられたタイムの中で、たすきを次につなげることが大事。
  • 商は笑なり 笑は商なり
    商売人はいつも笑っていること、楽しむことが大事。
  • 商いは牛のよだれ
    商売は牛のように、だらだらよだれを垂らしながらゆっくり歩き続けること。
  • おいあくま
    江戸商人の教え。「おこるな」「いばるな」「あせるな」「くやむな」「まけるな」。
    これを常に胸に置いておくこと。

最後に「営業は地道な努力と自作自演です」と原田さん。
自分で演出することは大事。演出が上手な人がいい商売人になり、いいものを売っていくと言います。
「自分はこれだけは負けないというものを、コンプレックスを持ちながら是非やってください」と、力強いメッセージをいただき、セミナーは終了しました。



人間誰しも一つはコンプレックスを持っているもの。
それをパワーに変え、あきらめずにしつこく追及する人には、自ずと道は開かれるようです。
そして願いが叶った時、コンプレックスはその人の魅力に変わるのだと、原田さんを拝見して確信しました。



今回のセミナーには新たに4名の方が参加されました。
キャリア研究会では、今後もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご興味、ご都合に合わせ、是非ご参加ください。


受講者の声

   
  • とびこみ営業、ウソから出たマコトの話など、興味深く聴きました。
  • 自作自演の営業、「あり」だと思いました。
    強い情熱を持って、何度もチャレンジすることで夢はかなうのですね。明日から「笑」いながら、がんばれそうです。
  • 大変楽しくお話をうかがいました。
    「コンプレックスをバネにして」という気持ち、私も共感しました。
    粘り強く、あきらめないと、何とか道は開けると、20年会社をしてきて思えるようになりました。
  • 復活ストーリー、感銘うけました。どの仕事にも共通していることを感じ、コンプレックスを持って、情熱を忘れず、取り組んでいこうと思います。
    「おいあくま!」実践していきたいと思います。
    ありがとうございました。

(アンケートより抜粋)

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

今後の開催予定は、こちらから