キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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活動履歴

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開催報告

開催日 2017年11月20日(月)開場18:20 開始:19:00~21:00
場 所ダイヤモンド社 9階会議室
会 費2,000円(軽食費込)
テーマ 明日はわが身「がん」になって慌てないために~命を左右する、情報戦を制するための知識と心構え~
講 師 飯岡あゆみ
株式会社インテリジェント ウェイブ
キャリア研究会 常任幹事
参加者 20名(キャンセル4名)

 

セミナーの模様

2017年最後のセミナーとなった11月20日は、株式会社インテリジェント ウェイブで総務部課長として活躍されている飯岡あゆみさんに講演いただきました。
飯岡さんは、キャリア研究会の常任幹事でもあり、設立当初より会の運営に携わるなど、幅広くご活躍されています。
以前からセミナー講師を打診しておりましたが、ある日飯岡さんから「実はがん闘病中の親族がおり、その経験をお話しできれば」という申し出をいただきました。これが今回のセミナーにつながりました。
今や日本人の2人に1人はガンになると言われていますが、いざ身近な人ががんになっても実は知らないことばかりなのではないでしょうか?
今回は、飯岡さんに自身の経験から、いざというときに慌てないための知識と心構えについてお話いただきました。




日本人の身近に潜む病気「がん」

悪性新生物、いわゆる「がん」は、日本人の2人に1人がかかる病気で、死亡原因の約3割を占めます。たとえ自分がならなくても家族や親族の誰かががんになる可能性があるというほど身近に潜む病気となっています。
飯岡さんのご親族ががんになったのは約1年前で現在も闘病中です。
ところが、いざ身近な人が「がん」になった時、あまりにも知らないことばかりだったと飯岡さん。
病気との闘いは時間勝負なのに、知識不足ゆえタイムリーに正しい判断ができず、後悔する方も少なくありません。
飯岡さんの貴重な体験から、「がん」に備えられるよう、「情報収集のコツ」「標準治療とそれ以外の治療」「主治医との付き合い方」「セカンドオピニオン」「がん治療とお金」「普段からやっておくべきこと」の6つについてお話いただきました。


情報収集のコツ

「がん」といわれると誰しも頭が真っ白になってしまうでしょう。しかし、まずは信頼できる情報源で基礎知識を得ることが大切だと飯岡さんはいいます。そうすることにより早期診察や苦しい思いから解放されるなど、初動が早まることで、早く解決できることが増えるからです。
例えば、Webサイト。国立がん研究センター「がん情報サービス」に掲載されている「患者必携」では基礎知識を確認でき、NPO法人キャンサーネットジャパンの「CancerChannel」や「ビデオライブラリー」では、専門家が一般向けにがんの最新情報をわかりやすく解説している講演の動画を見ることができるそうです。
インターネット上にはさまざまな情報があふれていますが、情報提供者が明確なサイトか、営利目的の情報ではないか、客観的で科学的な裏付けのある情報かなど、情報の見分け方をいくつかご紹介くださいました。
また、あくまでも情報の利用は自己責任が原則。飯岡さんも調べたことや疑問点は主治医やお世話になっている医師に聞いたり相談したりしているそうです。
情報利用の結果を冷静に評価し、間違っていたら考え直すことが大切とのことでした。

 

標準治療とそれ以外の治療

標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療。一般的な患者さんに行われることが推奨される治療のことをいいます。
「最先端の治療」は、開発中の試験的治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明、推奨されることにより、これが新たな「標準治療」となるのだそうです。従って、最先端の治療が最も優れているとは限らないそうです。
がんの種類により標準治療は異なるようですが、これを定めたガイドラインが、各学会のWebサイト等で閲覧可能で、書籍として購入できるものもあるようです。

がんの3大治療は、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療です。
これをがんの種類により、組み合わせて行います。これを集学的治療といいます。
ところが、医師は専門外の知識についてはどうも詳しくないと飯岡さんは感じたようです。もちろん患者側は専門家ではないので、治療のコーディネートはできませんが、主治医に対して「可能性があるのなら、放射線治療をやってみたい」などというように要望を言ってみることは大切だと飯岡さん。
また、抗がん剤はいつか効かなくなることが考えられます。もし治療が効かなくなった時は、これからできる薬の臨床試験に参加するという選択肢もあるようです。但し、臨床試験への参加は、まだ確立していない治療法であることを認識する必要があります。
臨床試験に関しては、国立がん研究センターがん情報サービスのWebサイトに「がん臨床試験を探す」というコーナーや、オンコロというWebサイトでも臨床試験の最新情報が掲載されているので、参照することができるとのことでした。
このような知識があれば臨床試験にたどり着き、条件が合えば治療を試すことができるのです。


また、忘れてはならないのが「緩和ケア」。
緩和ケアとは、がん患者とその家族の苦痛を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることでQOL(生活の質)を改善するアプローチを指します。
緩和ケアというとホスピスを思い浮かべてしまいがちですが、現在はホスピスとは違い、がん診断時から平行して行い、治療を支えるとともに常に苦痛(痛みなどの身体的苦痛のほか、精神的苦痛や社会的苦痛など)の緩和を目指すもののようです。
ところが、飯岡さんは病院に緩和ケアのチームがあっても、主治医から相談を勧められたことはないそうです。気になるようであれば、これも自ら医師に相談してみてはどうかとのことでした。

この他、健康食品やサプリメント、温泉療法やアロマセラピー、また漢方や鍼灸など、通常医療と一緒に用いられる補完医療、通常医療の代わりに用いられる代替医療についてもご紹介いただきました。
エビデンスが不足していると言われる補完代替医療でも、ヒトに対するある程度のエビデンスがあり、重篤な副作用がなく、費用が高額でないものであれば、免疫力をアップさせるためなど、ニーズに合わせて試してみても良いのではないかというのが飯岡さんの考えのようです。


主治医との付き合い方とセカンドオピニオン

いい医療は、患者と医者の信頼関係から生まれます。主治医に親身になって診察してもらうためには、挨拶、笑顔、お互いを尊重する気持ちを伝えるほか、予約時間に遅刻しない、反抗的な態度を取らないなど、一般社会で生活する上でも役立ちそうなことが挙げられました。
また、診療には予習復習が大切だといいます。症状についてできるだけ具体的にメモをしたり、質問事項を整理するなどの予習と、理解できなかったことや疑問は書き留めて次回質問するといった復習です。
診察の際は質問メモを受付時に提出して、医師の話を録音し、後から確認できるようにしているとのことでした。
それから、診察には家族や身内などが必ず同伴することも大切だといいます。特に高齢になると少なからず理解力が低下するため、心理的な面を考慮しても、必ず同伴するようにとのことでした。

それから、セカンドオピニオンは主治医以外の医師の意見を聞くことを指しますが、納得してより良い治療法を選択するためにも、聞くべきだと飯岡さん。
セカンドオピニオンは、主治医の協力なしには受けることができません。これまでの検査や受診データなどを持って行く必要があるからです。
同じ病院内でも、内科から放射線科にセカンドオピニオンを聞くということもありますので、このことからも主治医とはうまく付き合っていく必要がありそうです。

 

「がん」治療とお金

がん治療にはお金がかかります。診療、治療、入院費など、病院に支払う医療費、食事代、先進医療の技術料、診断書作成費など、病院に支払う医療費以外の費用、そして通院時の交通費や日用品、健康食品などの補完代替医療費など、病院以外でかかる費用です。
医療費を節約するには、高額療養費制度や助成制度の活用、ジェネリック医薬品の利用、医療費控除での税金還付などが挙げられます。

また、がんで減った収入を補うには、医療、年金、雇用などの公的な保険や生活福祉賃金貸付制度や生活保護制度などがあります。また、各自の預貯金や医療保険、がん保険など民間の保険があります。
ただし、これらはすべてセルフサービス。自分で手配する必要があるのです。
病院の支援サービスで教えてくれるようですので、相談してみると良いようです。

現在のがん治療は入院日数も短く、日帰り治療がほとんど。そして放射線の先進治療も多くみられます。このことから、保険の見直しをすることも重要になってきます。
保険適用外だった、古いタイプの保険で補償が不十分など、がん罹患時の保険に対する不満も多くみられるようです。

 

普段からやっておくべきこと

がんを防ぐために普段から気を付けるべきこと、「がんを防ぐための新12か条」をご紹介くださいました。
(出典 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)

  1. たばこを吸わない
  2. 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
  3. お酒はほどほどに
  4. バランスのとれた食生活を
  5. 塩辛い食品は控えめに
  6. 野菜や果物は不足にならないようにする
  7. 適度に運動
  8. 適切な体重維持
  9. ウイルスや細菌の感染予防と治療
  10. 定期的ながん検診を
  11. 身体の異常に気づいたらすぐに受診を
  12. 正しいがん情報でがんを知る

喫煙はがんとの因果関係を推定するのに十分な科学的根拠があり、正に百害あって一利なし。喫煙者は、咽頭がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胃がん、膵臓がん、子宮頸がんなど多くのがんになりやすいようです。
受動喫煙でも、肺がんとの因果関係は高く、科学的根拠は十分でないにしろ、鼻腔・副鼻腔がんや乳がんになる可能性があるようです。
また、がんの危険因子や糖尿病とがんの関連性などについても資料で紹介してくださいました。

それから、何といってもがん検診の受診は大切です。例え自己負担となる任意型健診でも、家族に既往歴がある場合は、調べておいた方がよいようです。
万が一、がんになった場合、持病があることで選択できない治療があるようですので、いざという時のために、普段から健康を心がけることが大切なことのようです。

 

今回のセミナーでは、まず飯岡さんがこの一年に調べられた情報と書籍の数に驚きました。
参加者の中には、身内をがんで亡くされたり、現在正に闘病中という方も何人かいらっしゃいましたが、皆さん一様に驚かれていました。
明るくおっとりした印象の飯岡さんですが、とてもしなやかなで、物事を冷静に捉える観察眼をお持ちです。
何事においても追及し、それを知識として蓄えることの大切さも学ぶことができました。



今回ご紹介いただいたWebサイト

国立がん研究センター がん情報サービス http://ganjoho.jp/public/

NPO法人キャンサーネットジャパン http://www.cancernet.jp/

オンコロ https://oncolo.jp/category/ct




 

キャリア研究会では、来年もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご興味、ご都合に合わせ、是非ご参加ください。


受講者の声

   
  • 誰にでもある日突然に起こりうる問題と認識しつつ、やはりどこかまだ大丈夫と思う気持ちがありましたが、いざというとき、こういうことを知っておくべきという情報をわかりやすく話して頂いたので、とてもよかったです。
  • 親戚にがんが多く、がん家系なので本当、明日はわが身だと思っております。飯岡さんの話をお聞きして、よく調べて行動していると思いました。普段の予防もそうですし、かなり昔に入ったがん保険の内容を確認します。
  • なかなかここまで詳しい話を聞くことは出来ないと思います。心づもりとして今回の情報をうかがえた事、とても勉強になりました。
    こちらのテーマ、飯岡さんのお調べいただいた、努力されたことを教えていただき感謝いたします。

(アンケートより抜粋)

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

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