キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2017年7月21日(金)開場18:20 開始:19:00~21:00
場 所ダイヤモンド社 9階会議室
会 費2,000円(軽食費込)
テーマ 男も女も“待ったなし”の働き方改革
講 師 野木秀子
キャリア研究会 会長
KHAコンサルテイング株式会社 代表取締役
神奈川工科大学客員教授、JIET(NPO法人日本情報技術取引所)副理事長など
参加者 29名(キャンセル5名)

 

セミナーの模様

7月21日の講師は、当会の野木秀子会長。
数々の経歴を経て、KHAコンサルティング株式会社を設立。現在も神奈川工科大学客員教授、JIET副理事長、企業の顧問などと幅広く活動中です。
キャリア研究会での単独セミナーは、2011年2月以来、実に6年振り。
これまで、自身の経験を基に女性の生き方、働き方について講演されてきた野木さんが、男性も女性も“待ったなし”と、働き方改革について提言されました。




日本の抱える深刻な問題

現在の日本が抱える深刻な問題、それは「少子高齢化」です。少子化に加え、今や超高齢化社会の日本では介護離職者数の増加などもあり、働き手の減少に直結する問題となっています。また、日本の労働生産性は世界で30位、先進7か国では、1994年から22年連続で最下位。現在日本は「労働時間が長いのに、成果(付加価値)が上がらない国」という不名誉な位置付けにあります。
ハーバード大学のデービッド・ブルーム教授が1998年に提唱した「人口ボーナス期」と「人口オーナス期」。日本は人口ボーナス期から人口オーナス期へ世界最速で進んだために混乱し、変化に対応しきれなかったことが原因のようです。
少子高齢化、人口オーナス期に突入した日本において、早く策を講じなければ日本は沈没してしまうと警鐘を鳴らす野木さん。

それでは、どのような策が考えられるのでしょうか?


「人口ボーナス期」「人口オーナス期」とは?

ブルーム教授によると、生産年齢人口比率が高くなり、人口構造が経済にプラスになる時期を「人口ボーナス期」といいます。これとは逆に、働く人より支えられる人が多くなり、人口構造が経済の重荷になる時期を「人口オーナス期」といいます。
日本は終戦後、たった20年程で世界第2位の経済大国となりました。機械化による大量生産、徹底した品質管理で製造業では世界最高位となり、これはまさに「人口ボーナス期」。
長時間、滅私奉公で働く人材が評価されるようになりました。

その後、知的集約型産業社会の時代が到来すると、日本は既に人口オーナス期に突入していたのですが、人口ボーナス期からの変化が世界最速で進んだために混乱。本来進めるべきダイバーシティへの対応も、ICTへの投資もすることなく、人口ボーナス期のアジア諸国と無益な競争をし、失われた20年を生みました。

 

経済発展しやすいルールの違い

人口ボーナス期と人口オーナス期に経済発展しやすい働き方を比較、紹介いただきました。

<人口ボーナス期>

  • なるべく男性が働く:重工業の比率が高い
  • なるべく長時間働く:時間=成果に直結する工業生産
  • なるべく同じ条件の人をそろえる:均一なものの大量生産で市場ニーズを満たす
労働力が余るため、一定条件で足切が可能。
残るために必死になる忠誠心を高めるやりかた。

<人口オーナス期>
  • なるべく男女ともに働く:頭脳労働の比率が高い
  • なるべく短時間で働く:成果は時間に比例しない
  • なるべく違う条件の人をそろえる:常に違う価値を短時間で提供する必要あり
労働力が不足するため、使える労働力をフル活用。
短時間で成果を出すことが肝要。

こうしてみると、全く逆の働き方であることがわかります。


人口オーナス期でやるべきこと

少子高齢化、労働力の減少により、人口構造が経済の重荷になっている日本において、短期的、長期的視野での労働力の確保が最重要政策であると野木さんは言います。
短期的な労働力の確保として考えられることは、生産年齢人口でありながら、現在労働参加できていない女性、障がい者、介護者などがどれだけ労働参加できるかということが非常に大きなキーワードになるようです。
長期的な労働力の確保としては、真に有効な少子化対策をどこまで打つか、どこまで真剣にやるかが鍵とのこと。これらはいずれも、家庭と仕事の両立が必要となります。

条件の違う人たちが、短時間で付加価値を高められる環境の整備、働き方改革をすることが、日本の再生には必要のようです。
「長時間労働の是正」「生産性向上と付加価値を高めること」「潜在能力の活用」が絶対条件でしょうと野木さん。
「少しでも早く気付き、対応しなければ、日本の再生はない。今や待ったなし!」と語気を強める野木さんに、参加者たちも真剣な眼差しで頷いていました。
しかし、経営者、管理者のほとんどは人口ボーナス期の経験と成功体験しか知りません。現実的にできっこないという人も多いようですが、具体的にはどうすればよいのでしょうか?

 

具体的な対策は?個人で始められること

次に具体的な対策を示していただきました。

まずは、この状況を理解すること。
そして、個人的に始められるのは、次の3つとのこと。

  • 作業を見直し、無理、無駄な作業や自分でなくてもできる作業などの洗い出し
  • 朝夜メールなどの活用による作業予定などの把握
  • 会議の効率化

また、経営者であれば、
  • 集中タイムの設定
  • 評価制度を変える(短時間で付加価値を高めた人への評価)
  • アウトプットでの評価

を具体的に実施するとかなり変わるのではないかと、事例を交えてお話くださいました。

 

1時間という短い時間でしたが、とても分かりやすく、ますますパワーアップした説得力のあるセミナーに、今回参加された方々は大満足の様子でした。
この後、ディスカッションタイムを設けましたが、働き方改革についての白熱した意見や、具体的な質問、相談などが次々と飛び出し、関心の高さを感じました。

女性活躍が叫ばれている昨今、現在の仕事内容や、将来のキャリアプランなど、「働き方」について考えている女性は少なくありませんが、働き方改革は女性だけではなく、男性にも求められていることだということを知ることができました。



野木さんおすすめの書籍
デービッド・アトキンソン著「新・所得倍増論」

http://president.jp/articles/-/21715



セミナーの後の懇親会にも講師を交え24名が参加。金曜日とあって終電ギリギリまで話は尽きなかったようです。

 

キャリア研究会では、今後もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご興味、ご都合に合わせ、是非ご参加ください。


受講者の声

   
  • 働き方というものは本当に変わってきていると思います。そんな中で効率的な業務、制度改革は必然だと思っていて、今回のお話は本当に共感できました。
  • 働き方改革という言葉が先行し、何をすべきか、どうしたいかという議論ができていない状況を打破したいと心から思いました。
  • 「失われた20年」にIT投資が進まなかった真の理由は、日本人のマインドセット(考え方)である「成功体験の盲信」によると考える。長時間労働を減らすためには制度改革よりも、考え方やマインドセットの変革が必至だと考える。
  •    
  • 近い未来が怖くなった。この問題は、政治家マターなのかと思うと、ますます暗くなってしまう。人の問題を解決すべき厚生省の企業癒着の激しさ、企業人事のやる気のなさ・・・。
  •    
  • 働き方改革は、女性や介護するようになった人向けのものと考えていましたが、ど真ん中の男性にこそ必要と分かり、開眼しました。ありがとうございました!

(アンケートより抜粋)

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

今後の開催予定は、こちらから