キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

Site map

自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

<<活動履歴へ戻る

開催報告

開催日 2017年1月14日(土)11:00~14:45
場 所 日立目白クラブ
会 費 \6,000
内 容 新年会と講演、ピアノ演奏会
テーマ 変化の時代のメガトレンド
講 師 鶴保征城
学校法人・専門学校 HAL東京 校長
参加者 47名

 

2017年 新年会の模様

今期最大の寒波が訪れた2017年1月14日(土)、日立目白クラブにて恒例の新年会が開催されました。
各地で大雪のニュースが流れましたが、目白の空は晴れわたり、キャリア研究会2017年のスタートに相応しい日となりました。
今年は47名が集い、華やかな新年会となりました。

日立目白クラブ

日立目白クラブ

1928(昭和3)年近衛公爵邸跡地に学習院の高等科寄宿舎として建設された『日立目白クラブ』。
初めて訪れた方は、歴史を感じる重厚なアール・デコ様式の建物に感激されるようです。
今回も支配人の新栄さんが建物を案内してくださいました。

日立目白クラブについては、こちらをご覧ください。
2014年1月11日開催報告


会長あいさつと活動計画

野木会長

はじめにキャリア研究会 野木会長より新年のあいさつと年間報告がありました。
キャリア研究会は、自らを少しでも高めていきたい、家庭と仕事を両立させていきたいなど、志のある女性たちにネットワーク作りの場を提供することを目的に発足し、今年で10年、約300名登録いただいております。
女性の生き方やキャリア形成の仕方、ビジネスの展開方法、女性ならではの処世術などをテーマにしたセミナーの他、新年会、研修や会社訪問、暑気払いなどのイベント、海外研修などの活動をしております。
今年も2月に台湾研修を実施し、現地で情報サービス産業界の方たちと交流を図る予定です。
台湾では蔡英文さんが総統になり今後の活躍が期待されていますが、世界を見ても女性リーダーが増えてまいりました。
野木会長の「キャリア研究会でも、大きな目標に向かって一歩ずつキャリアを積み、自信を持って進めるよう、今年も活動して行きます。皆さん頑張りましょう!」との言葉で、2017年の活動は幕を開けました。

講演『変化の時代のメガトレンド』

鶴保講師

9回目を数える新年会では、昨年に引き続き男性講師、学校法人・専門学校 HAL東京 校長 鶴保征城様に「変化の時代のメガトレンド」と題し、お話いただきました。
鶴保さんは、1966年に大阪大学大学院をご卒業後、日本電信電話公社(当時)に入社され、電気通信研究所へ配属。その後、NTTソフトウェア研究所所長、NTTデータ常務取締役、NTTソフトウェア代表取締役を歴任されました。
そして、IPA、高知工科大学を経て、2009年より学校法人・専門学校 HAL東京・大阪の校長として教育に力を注がれています。
2015年「情報化促進貢献個人等表彰」で経済産業大臣賞を受賞。実践的ソフトウェア教育コンソーシアムの会長もされていらっしゃいます。

いつもは学生や、ビジネスにおいては男性を目の前にお話する機会が多いという鶴保さんですが、今回は女性ばかりのキャリア研究会でご講演いただきました。

大阪の下町で生まれ育った鶴保さん。
大学卒業後は、就職のために上京されました。これまでの決断でよかったと思うこと挙げられましたが、その中に「完全を目指さなかったこと」「幅広く知見や人脈を広げようと思ったこと」がありました。
配属された研究所では、大抵一つのことを掘り下げて研究するのですが、そこから逸脱するようなサラリーマン生活をされていたとおっしゃいます。
ご紹介の通り、数々の輝かしい経歴をお持ちですが、この二つの決断が企業や業界のトップに立たれても全体を広く見渡し、長く牽引される礎の一つとなったのでしょうか。
現在は、教育の世界に身を投じていらっしゃいますが、そこで学ぶ若者たちのように、これからどんなお話を拝聴できるのかと期待に胸を膨らませました。

社会の変化

1999年エリック・レイモンドによって書かれた、ソフトウェア開発に関するエッセイ「伽藍とバザール」を例に、これまでの社会とこれからの社会、またその中の歪によって生まれる問題などについてお話いただきました。

ソフトウェア開発の世界において、「伽藍」は開発費をかけて権利を主張し、販売するような従来型の低生産性手法のこと、「バザール」は、オープンソースのように複数の参加者が協力して開発するような、高生産性手法のことを指します。

高度成長期が終わり、成熟した時代になった現在、社会はインターネットを契機に「伽藍」タイプから「バザール」タイプへ移行。社会が激変している中で求められる人材も一変してきたと感じられるそうです。

セミナー風景

今の社会はバザール社会。そしてテクノロジーがドライブしている高生産性社会。この二つの組み合わせが猛烈な勢いで進んでいます。
これらを地層に例えると、地層のベースには高度成長期に温存された伽藍的で低生産性の世界が、その上にはインターネットを契機とするバザール的で超合理的な社会という地層が乗っている状況なのだとか。そして二つの地層に歪が生じると、何らかのタイミングで地震と同様に爆発を起こしてしまいます。
その一例として、アメリカでトランプ氏が次期大統領に選ばれたことを挙げられました。
アメリカでは貿易収支の赤字や逆輸入問題などが蓄積して一部国民のストレスが増加、今回の大統領選をきっかけに爆発した結果が、トランプ氏の勝利につながったのではないかと述べられました。
この他にも社会の歪が生じる典型的な例として、人口に対する農業従事者が激減しても、米が余る時代であることや、スマートフォンを使った合理的なサービスが登場したことにより、従来のサービス業者にかかるストレスを挙げられました。
これらの爆発により起こる変化にどう対応していくかがポイントになるようです。

必要とされる能力の変化

これまでは35歳くらいまでは基礎固め、50歳くらいからが勝負と言われてきましたが、これからは35歳くらいまでの経験で勝負の行方が変わるそうです。
必要とされる能力も、「リーダーシップ」「経済的観念あるいは生産性観念」「マーケット感覚」そして「自立性」に変わってきており、これらを35歳くらいまでに作り上げることが必要になっているとのことでした。

なお、ダメなタイプには、「与えられた仕事しかしていない」「グループを率いたことがない」「新規プロジェクトの経験がない」「外部コミュニティへの参加がない」「自分で稼いだことがない」「生産性の概念がない」が挙げられるそうです。

デザインの重要性とそれを教える実践的な教育

セミナー風景

これまでは「NEEDS(何が必要か)」で生きてきました。例えば、洗濯機は必要か、必要なら作ろうという感じです。
ところが今は「WANTS(何が欲しいのか)」という観点に時代が変わってきているそうです。

専門学校では、どこまで到達すればどのようなプロになれるのかという卒業時の人材イメージが出来ているそうです。HALでは、学生たちの到達度を常時チェックすることにより、技術の積み上げを可能としているそうです。
座学をしてテストをしただけでは成長しないため、知識を教え、作品を作る、そしてプレゼンテーションをし、評価(コンペ)をするというサイクルを繰り返し実施して、クリエータを育成するのだそうです。
「聞いたことは忘れる。見たことは覚える。やったことはわかる。」

確かに私たちの日常でもそう感じることがあります。

バザール社会と高生産性社会

日本人は、安心要素が仮に80%あるとしても、不安要素が20%あれば、不安が先に立ってしまう国民性のため、一度デフレに落ち込んだら長い間回復できない傾向にあるといいます。
部分的に見ると正しいことでも、全体で見ると意図しない結果が生まれる(合成の誤謬)ということを念頭に、全体を見ることが重要だとおっしゃいます。

最後にプロジェクターに映し出されたのは、「バザール社会で高生産性時代が到来」「脱皮できない蛇は滅びる」という言葉でした。

高生産性を目指す時、まだまだ伽藍的に考える上層部が多いのが実情です。
「自立的な生き方、ビジネスの在り方、高生産性時代ということを考えながら、大変な時代ですが、是非頑張ってください。」という重みのあるお言葉で、講演は締めくくられました。

参加者集合写真

女性が仕事を持ち、家庭と両立をすることが当たり前のようになった中、いろいろな工夫をしながら家事や育児、趣味などの時間を捻出していると思います。
変化の時代に脱皮することは、もしかしたら女性の方が得意なのかもしれません。

講演の最後は、鶴保さんを囲んで集合写真を撮りました。


キラキラとした笑顔の中での立食パーティー

乾杯写真

立食パーティーは、公立はこだて未来大学教授の大場みちこさんの乾杯でスタートしました。
初参加者6名を加え、総勢47名でのパーティーは、美味しい料理とお酒に舌鼓を打ちながら、名刺交換、近況報告や情報交換などで大いに盛り上がりました。



パーティーの後半には、アリアミュージックオフィス代表の堀口直子さんによるピアノ演奏です。堀口さんは、パーティーやイベントなどでの出張生演奏の他、音楽で脳の活性化と健康増進を図る活動をされています。まずは認知症予防のための歌を用いた簡単な脳のエクササイズを行いました。中にはうまくできない方もいらっしゃり、堀口さんの楽しいトークもあって笑い声が会場を包みました。
その後、映画音楽「I will always love you」などをしっとりと、リクエスト曲「エリーゼのために」「Fly me to the moon」「情熱大陸」を演奏していただき、最後は中島みゆきの「糸」を全員で歌いました。

ピアノ演奏

堀口さんの演奏を楽しみに参加されたという方もいらっしゃり、みなさん素敵なピアノに心癒されたようです。
「情熱大陸」では、出産を間近に控えた方の赤ちゃんが「お腹を蹴っていた!」そうで、音楽の素晴らしさを改めて感じる時間となりました。

パーティーは、昨年末から新幹事となった小早川さんの挨拶と、小林副会長の一本締めで新年会はお開きとなりました。
キャリア研究会は今年もさまざまなセミナーやイベントを企画し、キャリアアップしたい女性のネットワーク作りの場として、邁進してまいります。
ご友人、同僚の方とお誘いあわせの上、お気軽にご参加ください。

※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

 

今後の開催予定は、こちらから