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開催報告
開催日 | 2016年2月19日(金)19:00~21:00 |
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場 所 | ミューザ川崎 |
会 費 | 2,000円 |
テーマ | 自立・自律のいきいきキャリア ~理系と文系の交点で~ |
講 師 | 東京工業大学 大学院情報理工学研究科 特任准教授 森本千佳子 |
参加者 | 19名(当日キャンセル2名) |
セミナーの模様
2月19日のキャリア研究会は、『自立・自律のいきいきキャリア ~理系と文系の交点で~』と題し、東京工業大学 大学院 情報理工学研究科 特任准教授の森本千佳子さんにお話いただきました。
文系から理系へ、そして交点
現在、東京工業大学 大学院情報理工学部で特任准教授を務めている森本さん。
担当科目はプロジェクト開発演習。専門分野はチームビルディング、コミュニケーション、プロジェクトマネジメントと、バリバリの理系かと思いきや、どうもそうではないようです。
「社内研修が充実しているので、素人でも大丈夫との会社説明を信用した」というプログラミング未経験者の森本さんが配属されたのは、通信技術開発部。最初に習った言語は、なんとアセンブラ。配属されたその日に辞めたいと思ったのだとか。
そんな森本さんが、できなかったプログラミングを克服した理由、それは部署に素敵な先輩がいたから!なのだそうです。先輩に褒めてもらいたい一心でプログラミングを勉強したという可愛らしいエピソードもご紹介くださいました。
1999年に東京へ転勤。事業部施策企画に関わり、2003年、お客様を理解するには経営を知らなくてはと思ったことがきっかけで、仕事をしながら通い始めたビジネススクールから、筑波大学 大学院 ビジネス科学研究科へ入学し、MBAを取得されます。2008年には博士後期入学、2014年修了。
修了前の前年、2013年から東京工業大学で教員として働き始めました。
会社では、SEやプロジェクトマネージャーとして、ソフトウェア開発やシステム開発の教育などの「理系」業務に携わる一方で、人材育成の企画やチームビルディング、モチベーション研究などの「文系」業務、そして品質管理などは両方の側面からと、正に「文系と理系を行ったり来たり」されていらっしゃったそうです。
では、なぜそのように文系と理系を行き来することになったのでしょう。
転機となった出来事
森本さんにはいくつか転機となった出来事があったようです。
一つ目は大学時代。下宿先であった親戚のおじさんの誕生日のことでした。
おばさんと一緒にごちそうとプレゼントを用意。お祝いをしたところ、おじさんの口から出た言葉は「うれしいわ!まぁでもわしが稼いだ金やけどな」。
「わしが食わしとる」。
この衝撃的な一言が、「手に職を付けたい」「自立しなければ」と思うきっかけになったそうです。
その後も、人生のターニングポイントで尊敬する人たちに言われた言葉で奮起し、現在教育の現場に立つきっかけとなったのは、親友に言われた「やりたいんやったら、やったらいいやん」という言葉だったそうです。
文系の大学を卒業するも、理系の仕事へ進まれた森本さん。さまざまな人との出会いや、経験を経て文系と理系を行き来しながらキャリアを積んでこられたようです。
「キャリア」と「働きがい」
「キャリア」とは、仕事を通して人生を振り返った時に、自分の後ろにできた轍。
「自分にはキャリアがない」という人がいるが、人生を振り返ると、人には必ず何かしらのキャリアがあると森本さんはおっしゃいます。
ただ、キャリアを今の仕事や職業に活かしきれていないだけだと言います。
「働きがい」とは、仕事を通して社会から得る喜びのことで、マズローの欲求5段階説(*)を用いて説明してくださいました。
人はまず物質的欲求(生理的欲求、安全の欲求)が満たされないと、精神的欲求に繋がらないそうです。
これを「ジョブ」と「ワーク」に見方を変えると、「ジョブ」は食べていくための仕事で、物質的欲求に近く、「ワーク」は仕事を通して、組織に所属しているという安心感、自分の価値を認めて欲しいという欲求、即ち精神的欲求に繋がっていくそうです。
ジョブを手に入れたいという欲求が満たされた後に、ワークを手に入れたいという欲求につながっていきます。
「働きがいの前にまず仕事」という言葉には、どうやらこの裏付けがあるようです。
精神的自立は経済的自立から。職業を決める前に、仕事に何を求めるか、まず自分にとっての「働きがい」は何かを考えることが大切で、自分でしっかり稼げるということが自信になり精神的自立が始まるのだそうです。
自分軸を持つことのすすめ
まずは自分にとって大事なことを「自分軸」として持って欲しいと森本さん。
例えば、自分に響くキーワード(愛、自信、達成、希望など)を3つ書き出し、眺めていると、自分が大事にしていることがわかるそうです。
また、「どんなときに嬉しかったか」「どんなときに悔しかったか」「寝食を忘れて夢中になれることは何か」を考えることも有効であるとのこと。
頑なではなく、しなやかにたわむ余裕のある自分軸を持つ人は、仕事や人生において自分が揺れ動く時に強いのだそうです。
もし、仕事や人生に迷ったら、その軸を思い出すこと。そして一旦、「ワーク」でなく目の前の「ジョブ」に集中してみることもすごく大事なこと。
「自立と自律はだんだん蓄積してできていく。そんな風に考えます。」と、今回のセミナーを締めくくりました。
自立・自律したキャリアのために、他人に人生を任せない、自分の軸をもつ。
理系と文系を行き来しながら、双方の視点でキャリアを積んでこられた森本さんには、とてもしなやかで強い「自分軸」がはっきり見えたように思いました。
ちなみに、森本さんの心に響くキーワードは「挑戦」「喜び」「自立」とのことです。
みなさんもどんなキーワードが心に響くか、考えてみてはいかがでしょう?
(*)マズローの5段階欲求「モチベーションアップの法則」参照
今回も3名の方に初参加いただきました。
一人ずつセミナーの感想や自己紹介、近況報告などを行い、いつものように懇親会へ。
いろいろな会話を交わしながら、親睦を深めました。
この後も、3月、4月とセミナーが目白押しです。
ご友人、同僚の方とお誘いあわせの上、どうぞご参加ください。
受講者の声
- 「自分軸」に気付く。人(スタッフ)に対し、又、自分に対し、軸を持って伝えられていたか考えてみたいと思いました。
- ちょうど、仕事や家族のことで、悩ましい時期だったので、腑に落ちる言葉がたくさん見つかりました。本当に今日は参加できて良かったです。
- 自分軸の立て方、とっても勉強になりました。私の中のキャリア、今後の仕事軸、もっと真剣に考えていこうと思いました。
- 同じように文系・理系を経験して来た経験を伺い、これからどうしようと迷っていたところ、いろいろな可能性があることを知り、また自分自身の力についても信じてみたいと考えるようになりました。
(アンケートより抜粋)
※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)