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開催報告
開催日 | 2015年1月31日(土)11:00~14:30 |
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場 所 | 日立目白クラブ |
会 費 | \6,000 |
内 容 | 新年会と講演、ピアノ演奏会 |
テーマ | 生涯発達からみる女性管理職の葛藤と危機、 その克服とアイデンティティ形成 |
講 師 | 青木早苗 国際医療福祉大学大学院 臨床心理学専攻 修士課程 |
参加者 | 49名 |
2015年 新年会の模様
2015年を迎え1か月が経とうとする1月31日(土)、日立目白クラブに約50名が集い、新年会が開催されました。
前日都内近郊に降った雪が庭先に残るも、新年会にふさわしい快晴の日和となりました。
日立目白クラブ
1928(昭和3)年近衛公爵邸跡地に学習院の高等科寄宿舎として建設された『日立目白クラブ』。
初めて訪れた方は、歴史を感じる重厚なアール・デコ様式の建物に感激されるようです。
今回も支配人の新栄さんが建物を案内してくださいました。
日立目白クラブについては、こちらをご覧ください。
⇒2014年1月11日開催報告
野木会長あいさつ
まず初めにキャリア研究会野木会長より新年のあいさつと、講師と講演テーマの紹介がありました。
今回の講演は「生涯発達からみる女性管理職の葛藤と危機、その克服とアイデンティティ形成」。縁あって講師の青木さんに、研究対象としてキャリア研究会のメンバー数名がインタビューを受けたことから実現した講演です。
政策目標にも掲げられている「女性の活躍」ですが、キャリア研究会に集まる女性は既に様々な分野で活躍しています。「今年も更に頑張りましょう」という言葉で2015年のキャリア研究会は幕を開けました。
掲げられる「女性の活躍」と現状
政権目標にも掲げられ世間でも大きく取り上げられている「女性の活躍」ですが、これに大いに関連するテーマです。今回は人事コンサルタントを務められた後、現在大学院で臨床心理学を専攻されている青木早苗さんにご講演いただきました。
2020年までに「女性管理職を30%に」と掲げている日本ですが、現状は11%とそのギャップはなかなか埋まりません。管理職になりたくないという女性の意識もその要因となっているようです。
その理由の多くは「ロールモデルがない」「出世に興味がない」「子育てとの両立が不安」「自分のスキルに自信がない」といったもの。
では実際に「子育てをしながら仕事も頑張り管理職になった女性たちはどのような危機を経験しながらアイデンティティを発達させているのか」、これを青木さんが研究・発表されました。
母親の生き方が影響?女性のキャリア形成
インタビューは、男女雇用機会均等法施工後に社会人となり結婚・子育てをしながら管理職として活躍する中年期の女性に実施されました。これを「妊娠・出産から職場復帰まで」「子育て優先時期から再び仕事のモチベーションアップまで」「管理職になり失敗体験を学びにするまで」「管理職としての充実から世代性の高まり」の四期に分け、その分析結果を伺いしました。
女性のキャリア形成やライフスタイルには、幼少期の家庭環境や母親の生き方が影響を与えるという可能性があるそうです。インタビューを受けたメンバーも母親とは違うスタイルを選択。母親は昔ながらの専業主婦だったという講師の青木さんも「自分の好きな仕事ができるよろこび」と言われて育ったそうです。
子育て・復職・管理職就任における葛藤と危機
社会人となり、その後結婚、妊娠、出産、職場に復帰して現在管理職として活躍中の女性たち。これまでの道程には様々な葛藤や危機があったようです。
嬉しさの中に「出産でキャリアが停滞する」という漠然とした不安を抱えながら出産。育児休暇を利用して始まった子育て期においては、母親になった喜びと裏腹に何かしなければという焦燥感と喪失感、仕事をしていない(=自立していない)という不全感から仕事復帰への思いが強まるようです。
そして職場復帰。しかし母親としての役割と職業人としての役割の間で罪悪感と葛藤から「仕事を辞めようか」というキャリア最大の危機が訪れます。この危機は夫をはじめとする周囲のサポートや母親の役割に対する積極的・肯定的な姿勢で乗り越えます。
ここで大切なことは、認知の仕方を自分の価値観に合わせて変えることと青木さんはおっしゃいます。これができないとうつ病になるなど心身に影響を起こしかねないのだそうです。
この大きな危機を乗り越えることで仕事のモチベーションがアップし、学校行事などにも積極的に参加。そして、キャリアアップの意識が高まり管理職へ。ここでも失敗を経験するなどの危機を迎えますが、研究対象者たちはこのことで葛藤や矛盾に耐えられる柔軟性を得たのだそうです。
危機を乗り越えたからこその現在の充実
そうしながら管理職の大変さよりも面白さを実感し、他者をサポートすることに喜びを感じるように仕事のやりがいが変化。過去自分がサポートしてもらったからお返ししたというGive & Takeの気持ちも根底にあるようです。
そして、中年期の特色として見られる「残された時間が短い」という認識に、充分な経済力、母親としての役割の減少がサポート要因となり、やり残したことへのチャレンジをしたり、子育て経験などからロールモデルとしての意識が醸成し、後輩を育成しようという意識が高まったりするようです。
インタビューの最後には「寛容になり忍耐強くなった自分が好き」「ダメなところも自分」「今が一番充実している」そんな言葉が聞かれたとのこと。
将来的には、好きな仕事をしたいなどの目標を持っている。主体的に職業についている母親は仕事も子育ても楽しむ傾向にあるようです。
「楽観的に」という言葉が多く出てきたように感じられた研究結果。
いろいろな危機も「何とかなる」とある意味楽観的に乗り越えてきたからこそ、現在が充実しているのではないかと思いました。
そして、講演の最後に「今後女性が活躍するために女性に期待すること」を伺い、自分と向き合い勇気をもって柔軟に行動することが鍵になると若い世代に伝える必要があるのではないでしょうか。
注目される「女性の活躍」というテーマ。今後も研究され社会に反映されることに期待したい、そんな講演でした。
ピアノ演奏が花を添える立食パーティー
日本大学大学院で教授をされている平田光子さんの乾杯でパーティーがスタート。
平日の夜間に開催されるセミナーと異なり、新年会ばかりは土曜の日中に開催されることから、久しぶりのお顔も多く近況報告や情報交換などで盛り上がりました。
パーティーに花を添えていただいたのは、昨年テレビ番組にも出演されたアリア ミュージックオフィス代表 堀口直子さんのピアノ演奏。音楽は脳全体を使うことから、高齢者などの医療ケアとしても使われているそうです。
今回は「シェルブールの雨傘」から始まり、「赤いスイートピー」や「未来予想図Ⅱ」などのポップスなどをリクエスト形式で演奏いただきました。贅沢にもピアノ演奏で大合唱となりました。
限られた時間の中、最後は初参加の方をはじめ、数名の方にご挨拶いただき、野木会長の三本締めでお開きとなりました。
「もう終わりなの?」という声があちこちから上がるくらい、いつも以上にあっという間の3時間半でした。
今年もキャリア研究会は、様々な講演を企画し、情報交換の場をご提供してまいります。
ご友人、同僚の方とお誘いあわせの上、どうぞご参加ください。
※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)
今後の開催予定は、こちらから