キャリア研究会:女性のためのネットワーク作り

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自らを少しでも高めたい、仕事と家庭を両立したい、そんな女性たちにネットワーク作りの場を。キャリア研究会

活動履歴

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開催報告

開催日 2017年6月12日(月)19:00~21:00(開場18:20)
場 所ミューザ川崎 研修室1
会 費2,000円(軽食費込)
テーマ 仕事と介護の両立
~明日はわが身、企業も個人もお互い様の対策~
講 師 浜 一美
ネットワークプランニングサービス株式会社
アプライアンス事業部 部長
参加者 18名

 

セミナーの模様

6月12日の講師は、ネットワークプランニングサービス株式会社 浜一美さん。
ご主人が経営するIT会社で事業部長としてご活躍の中、突然、青森で暮らすお母様の介護が始まりました。
レクリエーション介護士、音楽レクリエーション指導士、准サービス介助士の資格も取得され、厳しさや難しさと向き合いながら、楽しさも取り入れ、仕事と介護の両立を継続中です。今回は浜さんの経験に基づき、介護について様々なことをお話いただきました。

少子化と高齢化社会の日本

総務省が発表した2015年の国勢調査では、1920年の調査開始以来、はじめて人口減少が伝えられました。2010年の調査より、94万7305人の減少となります。これは2016年10月1日推計でいうと、和歌山県の人口が95万3924人ですので、その規模の大きさがお分かりになると思います。
出生率が減少する中、団塊の世代が2025年で75歳以上の後期高齢者となります。このため2020年代には高齢化率は30%を上回り、大介護時代が到来すると言われています。

超高齢化社会へ突き進む日本の介護は、「介護を必要とする人」と「介護をする担い手」のバランス関係が問題となりそうです。
現役世代の保険料負担を見てみると、65歳以上1人に対する支え手の数は、約50年前は9人、2011年では3人に減少、2050年には1人になると予測されており、将来的には1人で2人を支えるということにもなりかねない状況です。

これを少しでも回避するためには、団塊の世代は健康寿命を延ばし、介護を必要とする期間を減少させることが重要と言えそうです。健康寿命を延ばすための方法についても、この後ご紹介いただきました。


仕事との両立を決断した遠距離介護

一人っ子の浜さんはご結婚され神奈川で生活され、お母様は地元八戸で一人暮らし。
今から3年程前、ご近所の方からお母様が倒れたとの連絡が入ります。一命はとりとめたものの歩行が困難な状況になってしまったそうです。
ここから浜さんの介護生活がスタートしました。医師にも業者にも迅速な決断を求められるため、常に冷静な判断と第三者的な考えを意識しなければならなかったそうです。
いろんな費用もかかるため、2年目までは「母と家計簿とのにらめっこだった」と笑います。
「何かを感じる暇もなかった」と浜さん。後ろを振り返ることはおろか、前すら見られていたかもわからないほどの状況だったそうです。
当初は、介護と仕事の両立は不可能と感じながら、会社とお客様に状況を伝え、仕事をしていたとのこと。
ある時、看病と介護にイライラしている自分に気付き、介護放棄直前までの状況に。
仕事も気になる、自由になる時間は皆無で、離職も考え始めた頃、会社が仕事をできる環境を提供してくれたのだそうです。
タイムスケジュールを作り、集中して仕事ができるようになると効率もアップし、少しずつ気持ちが楽になって、時間を作ることの楽しさを覚えたのだそうです。
一旦は離職も考えましたが、両立をしようと決断し、現在も仕事をしながら介護を継続されています。
浜さんは「IT業界だから可能なのかもしれません。だとしたら、私はIT業界に、会社に感謝です」と言いました。
離れていても、お母様の様子が見られるよう、部屋にカメラを設置して見守っていたそうです。実家に訪れた自治体の方の「これからはこういうシステムが必要かもしれませんね」という言葉で、安価な運用費で製品化をされたという浜さん。
仕事との両立をあきらめなかった自身の経験は、見守り製品の誕生にも活かされたようです。


 

介護の状況について知る

現在、同居による介護は61.6%で、このうち介護を行っているのは「配偶者」が最も多く、続いて「子」、「子の配偶者」と続きます。男女比では女性が約7割で、「誰に介護して欲しいか?」という質問に対し、圧倒的に多い回答は「娘」「嫁」なのだそうです。これは、女性のきめ細やかさと、時間のやりくり上手な点がその理由のようです。
2015年に女性活躍推進法が成立し、女性のキャリア評価や管理職に占める割合の増加が見込まれようとしている中、「介護」という問題がその肩にのしかかりつつあるようです。

「自分の親はまだまだ大丈夫だろう」と思っている方も多いと思いますが、「介護は突然やってくる」と浜さんは言います。
いざという時、慌てないために知っておきたい介護の準備に必要なことをご紹介いただきました。

介護保険のしくみ
介護保険の給付を受けることで、介護サービスや介護施設の利用が可能となります。
そのためには、まず住んでいる市区町村役場へ要介護認定の申請が必要です。
申請、審査、要介護認定、それが受理されてはじめて介護サービスの利用が可能になります。

介護サービスや介護施設の種類
在宅で介護をしながら、自宅や通所で受けるサービスもあれば、介護施設もあります。
中には介護保険の適用外というものもあり、費用も大きく異なります。

介護にかかる費用
サービス費用の1割をサービス提供業者に支払い、残りの9割は介護保険でカバーされます。
なお、「配食サービス」「家事代行サービス」などは、公的介護保険制度の対象外サービスとなり、全額自己負担となりますので知っておく必要があります。

公的制度の活用
介護保険で受けられるサービスには、家庭などで利用する「在宅サービス」と、介護保険施設に入所して利用する「施設サービス」があります。
例えば、在宅サービスには、訪問介護(週4回)、訪問入浴介助、デイサービス(週2回)、車いすやベッドなど福祉用具の貸与、家庭での手すり取り付けなど改修費用の支給などがあります。
施設サービスには、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設があります。


仕事と介護を両立させるための必須ポイント

企業は「ひと」「もの」「かね」「情報」を4大経営資源としますが、介護も同じと浜さん。
ただし、介護は始まればいつ終わるか分からないものです。公的介護保険制度には言うまでもなく、値引きやポイントサービスもありません。
また、介護状態が重くなるにつれ、受けるサービスを増やさなければならない上、節約をしにくいことから、必然的に支払う金額も増えてきます。
在宅介護に月20万円かかるとすれば、年間240万円、5年で1,200万円です。
このことからも、離職は最後の最後の手段。
働き盛り、中堅社員の離職は、会社にとっても大きな損失です。
今回のセミナータイトルにもあるように「個人と企業はお互い様」。必ず会社に相談してくださいと浜さんは強くおっしゃいました。
そして、仕事と介護を両立させるためのポイントを教えてくださいました。

●仕事:会社に相談し、自分の担当分野が継続可能かどうかを整理する。
●介護:地域の自治体を活用し、ケアマネージャーをつける。

まず、ざっくりとでも計画を立て、自分の意志を示すと同時に、会社、自治体、介護にあたるメンバー(家族、兄弟姉妹など)で連携を取ることが大事とのことです。
なお、介護費用は自分が建て替えたりせず、まずは介護をうける人のお金を使うことがポイントとのことでした。


「介護」となる前に。目指せ「ピンコロリン」

いざ、介護となった時のために、「エンディングノート」を薦めたいと浜さん。
将来、自分に万一のことがあったときに備え、家族やまわりの人に伝えたいことを予め記入するノートです。亡くなった後のことに限らず、医療や介護、葬儀、遺産相続、お墓のことなど、高齢期において気になるテーマがすべてといっていいほど盛り込まれたものもあります。
お互いが自分らしく生きるためにも、家族などの中で、共有しておくとよいそうです。

また、認知症予防に良い食べ物、運動などを教えてくださいました。

●食事:青魚、海藻、きのこ、緑黄色野菜、納豆
●運動:ウォーキング

この他、カラオケやダンス(社交ダンスなど)も脳のトレーニングになり、予防に効果的なのだそうです。

最後に浜さんから、こんな言葉がありました。
「既にワーク・ライフ・バランスを考えた働き方に移行できるよう、厚生労働省ではテレワークを推奨するなどの動きがあります。しかし、日本企業は現実を受け止めながらも、新しい開拓には時間がかかってしまうのも現実です。いつの時代でも、女性がたくましく、女性がいなければ世の中は回らないと言っても過言ではありません。ならば、堂々と女性特有の多様性を仕事にもプライベートにも活かし、健康寿命を延ばして「ピンコロリン」を目指しましょう!」


いつも素敵な笑顔で元気な印象の浜さん。
その場がパッと明るくなるので、まさか介護で大変な思いをされていたなど、想像もしませんでした。
介護はいつ「する側」「される側」になってもおかしくない問題です。
今回、ご自身の体験をベースに教えていただいた知識は、必ず役に立つものです。
そして、介護の厳しさ難しさと向き合い、「楽しさ」を取り入れながら、現在も継続されている浜さん。明るい表情の中に、ピンとした芯の強さが感じられました。

質疑応答や参加者アンケートを見て、介護経験者や、現在介護中という方の多さに驚きました。
高齢化社会において、介護はもはや当たり前のことなのだと改めて感じました。
人には言いづらく、悩みを抱えている方も、周囲に話すことで解決することもあるのではないでしょうか。
働く女性にとって、とても重要な内容のセミナーでした。


今後もいろいろなセミナーやイベントを企画しております。
ご都合に合わせ、是非ご参加ください。


受講者の声

   
  • 具体的なお話を交えながら、分かりやすくお話頂きありがとうございます。
    介護ときくと、暗いイメージを抱いてしまいがちですが、良い面、明るい気持ちを抱ける瞬間を見出したいと感じました。
  • 私は若年性アルツハイマー型痴呆症要介護5の母を抱えています。母の場合は、特別養護老人ホームを経て、いまは介護療養型医療施設に入所しております。これまでは周りに伝えることをしなかったので、私も一人っ子で、かつ子育て中で、辛く大変な時期がありました。ただ、現在ではこうして私達のように介護中の方が多くいらっしゃる時代ですからこそ、周りに状況を伝え、協力、サポートしてくれる仕組みを、介護する側が積極的に作っていくべきだと感じました。
  • 実際のご経験に、一般的知識や統計データを組み合わせて作られた資料がとてもわかり易かったです。思いやりのあふれた発表だと感じました。
  • 介護を経験している方がたくさんいる事にビックリしました。まずは母にエンディングノートをプレゼントして書いてもらおうかと思いました。
  • (アンケートより抜粋)

    ※講師の方の所属及び役職は、開催当時のものです。(敬称略)

     

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